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快挙達成を前にプロ野球「逆トリプルスリー」に注目してみた

 プロ野球もシーズン終盤になり、ペナントレースの行方とともに個人成績にも注目が集まる。とくに今年はセパともに「トリプルスリー」という貴重な記録が生まれそうだ。だが正の記録もあれば負の記録もある。大人力コラムニスト・石原壮一郎氏は「逆トリプルスリーこそ、大人が学ぶ点が多い」と語る。

 * * *
 プロ野球の公式戦も、そろそろ終盤を迎えました。優勝争いとは別に、ここにきて熱い注目を浴びているのは、セパ同時に達成者が誕生しそうな「トリプルスリー」(3割30本塁打30盗塁)です。

 ヤクルトの山田哲人は、よっぽど急に打率を下げない限り達成はほぼ確実。ソフトバンクの柳田悠岐は、9月10日の時点で30盗塁まであと2個で、こちらも濃厚と言っていいでしょう。プロ野球の長い歴史の中でも、まだ8人しか成し遂げていない大記録です。いちばん最近は、2002年に西武ライオンズ(当時)の松井稼頭央が達成しました。

 光があれば影があり、誇らしい記録があれば一見そうでもない記録があります。残り少なくなった2015年のシーズンをさらに多彩に楽しむために、あまり誇らしくなさそうな記録に注目して、いわば「逆トリプル」を達成しそうな選手を探してみましょう。もしかしたら、大人にとって大切な何かを学ばせてもらえるかもしれません。

 まずは打撃成績(以下、記録は9月10日現在)。規定打席に達しているのは、セ・リーグが24人、パ・リーグが29人。セパ合わせて三振のトップ3は、中村剛也(西)154個、メヒア(西)136個、森友哉(西)130個。おっと、西武の選手が3位までを独占です。併殺打のトップ3は、内川(ソ)21個、マートン(神)19個、レアード(日)17個。もうひとつは守備の記録で、規定試合数に達している中で失策のトップ3は、田中広輔(広)19個、レアード(日)16個、安達了一(オ)13個となっています。

 2014年度のシーズン最終記録を見てみると、三振が150個を超えたのはセパ合わせて3人。「150個」がひとつの基準になりそうです。併殺打は3人が20個越え。失策の最多記録は17個。どちらも「20個」が大台と考えていいでしょう。

 はなはだ勝手ながら、打者にとっての「逆トリプル」は、150三振20併殺打20失策と決めさせていただきました。ただ今シーズンの場合、三振がもっとも多い中村剛也(西)は、併殺打は11個で失策も12個しかないので、よっぽど勢いよく積み重ねないと達成できません。併殺打と失策ではレアード(日)がいい線いっているものの、三振が112個と控え目なのがネックです。本来の「トリプルスリー」もめったに達成されないので、長い目で今後に期待しましょう。

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