芸能

深夜ドラマに秀作あり 自分自身を呼び起こす純文学的魅力も

 テレビドラマには様々な制約がつきものだ。常に水準以上の視聴率が求められることもその一つ。ただ、枠によっては思い切った試みも可能になる。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。

 * * *
『朝が来た』『下町ロケット』が高視聴率を叩き出し、熱い視線が注がれる今期のドラマ。対して、「数字」的には注目されないけれど、斬新な試みにじわりファンを増やしているのが深夜ドラマ。チャレンジングな冒険や文学的な表現が追求できるこの枠から、秀作が生まれている。

「チャレンジング」という意味あいで筆頭に挙げられるのが、「連ドラ史上初めて」女性同士の恋愛を題材にした『トランジットガールズ』(フジテレビ系土曜23時40分)だ。

 人気を博した『テラスハウス』のスタッフが制作を手掛け、Dragon Ashの降谷建志が音楽を担当。「“好きになったのが女の子だっただけ”」というラブストーリーを目指すとプロデューサーは語る。

 たしかに、独特の空気が漂う。受験生の小百合(伊藤沙莉)は、親の再婚によってアシスタントカメラマンのゆい(佐久間由衣)と姉妹になった。しかし、二人の間には深いミゾが。その関係が微妙に、少しずつ、変化していく…小百合の心の隙間に、入り込んでいく姉のゆい。二人の間にある緊張感、ザワザワっとする空気が、どんな風に溶けていくのか。見所だ。

 印象的なのが、主役を演じる伊藤沙莉の声質。アルトでハスキー、ちょっとざらついている。女子高生のヒロインといえば、通常ならこの声はありえない。しかし、敢えて選択しただろう役者とその声が、リアル感を際立たせている。

 多感な年ごろの女子高校生って、ちょっとイラッとしていたり、投げやりな感じがあったり。思春期特有の不機嫌さ、不器用さ、不安定さ。「自分の心の中に入ってこないで」と相手を拒絶するそぶりが、ハスキーなアルト声とからまりあって、生々しい感じを生み出す。伊藤沙莉の巧さと、テラハチームの演出の成果だろう。

 妹の心の隙へ滑り込んでいく姉は、ふわふわと浮遊していて不思議な存在感。「ガールズラブ」と目を惹くワードが躍っているが、「人と人との微妙な距離感の変化」を細かく描写していくあたり、伝統的な純文学技法による面白さとも言える。

トピックス

雅子さまが三重県をご訪問(共同通信社)
《お洒落とは》フェラガモ歴30年の雅子さま、三重県ご訪問でお持ちの愛用バッグに込められた“美学” 愛子さまにも受け継がれる「サステナブルの心」
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《噂のパートナーNiki》この1年で変化していた山本由伸との“関係性”「今年は球場で彼女の姿を見なかった」プライバシー警戒を強めるきっかけになった出来事
NEWSポストセブン
送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者(写真/時事通信フォト)
「とにかく献金しなければと…」「ここに安倍首相が来ているかも」山上徹也被告の母親の証言に見られた“統一教会の色濃い影響”、本人は「時折、眉間にシワを寄せて…」【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
マレーシアのマルチタレント「Namewee(ネームウィー)」(時事通信フォト)
人気ラッパー・ネームウィーが“ナースの女神”殺人事件関与疑惑で当局が拘束、過去には日本人セクシー女優との過激MVも制作《エクスタシー所持で逮捕も》
NEWSポストセブン
デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長2月引退》“竹内七代目”誕生の分岐点は「司組長の誕生日」か 抗争終結宣言後も飛び交う「情報戦」 
NEWSポストセブン
部下と“ホテル密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト/目撃者提供)
《前橋・小川市長が出直し選挙での「出馬」を明言》「ベッドは使ってはいないですけど…」「これは許していただきたい」市長が市民対話会で釈明、市議らは辞職を勧告も 
NEWSポストセブン
活動を再開する河下楽
《独占告白》元関西ジュニア・河下楽、アルバイト掛け持ち生活のなか活動再開へ…退所きっかけとなった騒動については「本当に申し訳ないです」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン