体調が悪いなかでも、周りへの気遣いや明るい振る舞いを忘れない。劇中のあさを彷彿させるたたずまいである。波瑠の成長ぶりについては制作関係者も舌を巻く。
「撮影のスタート当初は、義父・正吉役の近藤正臣さんが中心になって現場を引っ張り、『今日はもうちょっと頑張ろうや』とか『ここは勝負所やで』とか盛り上げてくれていました。それが、視聴者もお気づきのとおり、そろそろ正吉の死が迫っていて、現場も世代交代している。
そんななかで波瑠さんは、これからは自分がみんなをまとめていくんだという自覚が強く、『これまでは“お父ちゃん”と呼んでいればよかったが、これからはみんなのお母さんにならなければならない』と意識されているようです。ぶっ続けで2週間続いた炭鉱シーンの撮影で、炭鉱夫に揉まれて啖呵を切って“女将さん”の風格を身につけたことで、本当に波瑠さんが変わったな、タフになったなという印象をスタッフにも与えていると思います」
さらに興味深いのは、姉・はつ役の宮崎あおいと波瑠の関係が、まさに劇中の姉妹のようなことだ。
「宮崎さんの趣味は刺繍で、撮影の合間にも刺繍をしています。波瑠さんにも刺繍したハンカチをプレゼントして、その緻密さに驚き感動した波瑠さんは『自分にも教えて欲しい』と、宮崎さんに刺繍を教えてもらうことを申し出て、休憩中には仲良く刺繍に没頭しています」(NHK関係者)
もはや「国民的姉妹」である。
※週刊ポスト2015年12月25日号