●その3 これから期待したい点
全体的に魅力的な躍動感あるドラマとして滑り出した『真田丸』。ゲーム『信長の野望』の3D技術を活用するあたりも面白い。
距離感や土地の起伏を体感できる仕掛けがいい。当時は「地理」が戦いに大きく影響していただけに、物語をより面白くするスパイスになるはず。
ドラマ世界はこれからどう展開していくだろう。徳川家康に内野聖陽、織田信長に吉田鋼太郎と、次々に見所がありそう。
中でも真田の物語は、キャラが多彩なことが特徴だ。猿飛佐助に霧隠才蔵、三好清海入道……対立する徳川家の動静を探る個性的な家来「真田十勇士」が揃っている。少年期に杉浦茂の漫画『猿飛佐助』に没入した団塊世代が、潜在的視聴者として待ちかまえている。大きなアドバンテージだ。
戦国武将のドラマは、どうしても「戦術話」「勝敗」に目がいきがちだけれど、「戦いの物語」を超えて「人間の物語」まで、ぜひ到達して欲しい。堺雅人がかつて第13代将軍・徳川家定をいきいきと演じ(『篤姫』)新たな人物像を打ち立てたように。
人間の葛藤を、厚みのあるドラマとして描き出すことを期待したい。小手先のギャグに流れることなく。