最終週の注目も、やはり愛の行方。これまで長きに渡って描かれてきたうめと雁助の愛、新たに浮上した美和(野々すみ花)と平十郎(辻本茂雄)の愛がどんな結末を迎えるのでしょうか。もちろん最大の見どころは、あさと新次郎が見せる最後の愛。あさが体調のすぐれない新次郎にどう接し、どんな言葉をかけるのか、あさは新次郎の最期を看取ることになるのか、などに注目が集まります。
過去のドラマを振り返ってみても、ここまで性格や立場の異なるさまざまな女性の愛を描いた作品は見当たりません。いずれも女性目線から心の動きを丁寧に描き、相手男性に優しさのあるタイプをそろえたのも、好意的に受け入れられる理由になった気がします。
一時は連ドラからラブストーリーがほとんどなくなりましたが、ここ数年でその価値が再認識されつつあります。『あさが来た』は、そんな流れをしっかりとらえた“今世紀最高級のラブストーリー”と言えるのではないでしょうか。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20~25本のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』などに出演。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもある。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。