当初はスタッフも4~5人ほどで、リハーサルもなかった。テリーはこう振り返る。
「今よりコンプライアンスが厳しくないから、芸人の命の保証もない無謀な番組でした(笑い)。当時は今ほど芸人の地位も高くなかったんですよ。たけし軍団に代表されるように全員が鉄砲玉みたいなものだったんです。
たとえば人間ロケットで飛んでいくとか、人間ゴキブリホイホイといってとりもちにくっつくとか。とりもちも強力すぎて、下手すると指紋までとれちゃいそうな粘着力の強いもので、髪の毛がついたらその部分ははさみで切るしかないとかね。
ロケ自体は1~2時間で終わっても、そのあと丸1日仕事にならない。なかでも“バス吊り下げアップダウンクイズ”は、海の上に人間が入ったバスをクレーンで吊って、正解すると上がったままだけど、みんなお約束で不正解なの。どんどん海水に浸かっていくわけですよ。
でも当日暴風雨で大しけでね、海に入ったら、バスの座席が水圧でみんな浮いてきちゃったんです。想定外でしたね。椅子が上っていって天井にぶつかって空気が少ししかなくて。一歩間違えたら死人が出てもおかしくないような感じでね。今は笑い話だけど、とんでもないことやってました(笑い)。みんな必死でした。それがひたむきに映ったなあ。
ダチョウ倶楽部の“聞いてないよ”だって、本当は聞いていたのかもしれないけど、初めて聞いたみたいな感じのリアクションが生まれてて。それがおれたち作り手の想像をはるかに超えて面白かったんですよ。感謝しなくちゃいけないですよね」
※女性セブン2016年6月23日号