ライフ

井沢元彦氏解説 朝日新聞の「日本新聞史上最低最悪の記事」

『逆説の日本史』を連載中の作家・井沢元彦氏

 近現代史を考察するためには、ウソや誤解に満ちた“通説”は正さなくてはいけない。作家・井沢元彦氏による週刊ポストの連載「逆説の日本史」から、「朝日新聞編集幹部による『日本新聞史上最低最悪の記事』」について解説する。

 * * *
 ジャーナリズムと歴史学はその基本的な使命で共通性がある。それは真実の追究を最大の目的とするということだ。ジャーナリズムは現代の、歴史学は過去の問題を扱うという相違点はあるが、近現代史においてはこれが重なり合うことが少なくない。例えば戦争犯罪の追及等の問題である。

 ところが日本においては、近代史の権威と言われるような学者、評論家や新聞やテレビなどの巨大マスコミが、予断と偏見を持っているとしか思えない態度で近現代史の問題を扱うことがある。それも特定の学者、評論家(いわゆる進歩的文化人)や特定の大新聞やテレビ局がそういう態度に出ることが少なくない。

 これでは本当に良心的な歴史学者が近現代史を研究する際に大きな障害となる。「先生の研究は新聞と違うじゃないですか」などと疑問を持つ善男善女が出てくるからだ。

 だから、そうした障害をなくさない限り、まともな近現代史の議論はできない。といっても特に若い読者にはこういうことが初耳かもしれないので、少しこの問題自体の歴史を振り返ってみることにしよう。

 中高年以上の人ならば明確に覚えていると思うが、かつて日本の歴史教科書に「中国への侵略」という表現があったのを、文部省(当時)が教科書検定の場において「侵略→進出」と改変させたという情報が流れた。ほとんどすべてのマスコミはこれを事実として報道し、中国は日本に対して激しく抗議した。

 ところが実はこれはまったくのガセネタ、つまり虚偽の情報であることが判明したのである。当然、それは事実ではなかったということを確認した各マスコミは、誤報と認め社告などで訂正し謝罪した。

関連記事

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《ロマンス詐欺だけじゃない》減らない“セレブ詐欺”、ターゲットは独り身の年配男性 セレブ女性と会って“いい思い”をして5万円もらえるが…性的欲求を利用した驚くべき手口 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン