まず大前提として誤報に対する訂正は誰の目にも明確で理解できるものでなくてはならない、ということがある。しかし、実は朝日はこの件に関して、訂正に類する行為を行なったのは、後日「文部省の見解(侵略→進出という書き換えはなかった)は正しい」という小さな記事を掲載しただけなのである。
確かに論理的に言えば、そうすることによって前の記事を否定したわけだから、「訂正」には違いないかもしれない。しかし、これは多くの読者に真実を知らせる新聞紙上で犯された間違いなのである。
しかもその間違いは日中関係の悪化という結果を招いた。その点から考えてみても、まず第一にもっと明確に訂正しなければいけないし、第二に悪いことをしていない人を悪人呼ばわりした、つまり無実の罪を着せたわけだから、被害者(この場合は文部省および日本政府)にきちんと謝罪しなければいけない。
朝日新聞はよくご存じのように、中国政府や韓国政府あるいは公害や薬害の被害者たちには、日本政府は真摯に謝罪しなければいけないと執拗に繰り返すが、自分たちが日本政府に被害を与えたときにはまったくと言っていいほど謝らない。少なくとも明確に謝罪はしない。