年金の「女性優遇」も放置されたままだ。顕著なのが労災遺族年金だ。「夫が死亡した妻」に対しては無条件で支給されるのに、「働く妻を亡くした夫」に対しては、夫が55歳未満の場合は支給されない仕組みになっている。
「労災遺族年金は共働きが当たり前の時代にあって“男女差別だ”と、論争の的となっている」(前出・稲毛氏)
2011年、51歳の時に公務員だった妻を亡くした男性が遺族年金が受け取れないことを不服として裁判を起こしている(訴訟を起こしたのは68歳の時)。1審は「違憲」として男性の訴えを認めるも、2015年に2審は「合憲」として地裁の判決を取り消した。現在も争われており、最高裁の判決に注目が集まっている。
ちなみに「女性活躍」の“象徴”ともいうべき小池百合子東京都知事の政治塾「希望の塾」の受講費用も、女性は男性より1万円安い。
小池都知事は、「入塾者のうち、女性が4割に上りました。男性5万円の受講費用を女性は4万円に設定するなど、配慮しています」と胸を張ったが、その明確な理由は語られず、男性としてはどうも腑に落ちない。エジプト出身のタレント・フィフィは、日本の女性優遇策に首を傾げる。
「女性にとって“余計なお世話”というものが多い。優遇策が増えると、“わざわざ枠を作ってあげないと入れない”と見下しているのかなぁと思ってしまいます。実力で地位を得た女性が可哀相。日本の女性優遇策は女性のためにならない面もあると思う」
男のためにも女のためにも、行きすぎた「女尊男卑」について、もう一度、考えてみませんか……。
※週刊ポスト2016年12月2日号