やっと叶った夢ですから、何があっても音を上げるわけにはいかないと思っていました。でも、最初の頃は、師匠(井筒親方=元関脇・逆鉾)や部屋の兄弟子が話している言葉が、まったくわからない。そこで役に立ったのが、バラエティー番組のテロップとカラオケです。私が最初に覚えた日本語の曲は、村田英雄さんの『王将』なんですよ(笑い)」

 入門からの努力が実って、相撲界で「一人前」とされる十両に上がったのが、2005年九州場所のこと。そして、2012年夏場所に大関に昇進、その2年後、29才で大相撲界の最高峰・第71代横綱に上りつめた。

「出世が早い白鵬関、日馬富士関と違って、私の場合、一歩一歩歩んできたという感じです。少しずつ体を作って、自分に合った相撲を見つけて勝てるようになってきた。そして、3人の横綱が揃った九州場所で3度目の優勝ができて、ようやく『横綱の責任を少しだけ果たせたかな?』と思えたんですね。今年はけがをせずに1年間土俵を務めたいと思います」

 3度目の優勝を決めて、表彰式に向かう花道で、ムンフザヤ夫人から祝福のキスを受けたシーンはテレビでも中継された。

「あれは、ちょっとはずかしかったですね(笑い)」

 今年、「鶴竜スマイル」を何度見られるのか楽しみである。

【Profile】
かくりゅう・りきさぶろう●1985年、モンゴル・ウランバートル市生まれ。本名、マンガラジャラブ・アナンダ。186cm、155kg。2001年九州場所初土俵、2012年夏場所、大関昇進。2014年夏場所、第71代横綱に昇進。得意技は、突っ張り、右四つ、寄り、下手投げ。優勝3回。井筒部屋所属。

※女性セブン2017年1月26日号

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