小林:血統こそが天皇だというドグマは危険ですよ。Y染色体に権威を認めると、生身の天皇陛下への承詔必謹がなくなってしまう。「天皇のいうことを聞く必要はない」となれば、もう天皇は国民の結節点ではなくなるでしょう。
八木:でも今の陛下ご自身が純粋な男系継承で天皇になられたのですから、男系継承を否定すると自己否定になってしまいます。私は、陛下が女系継承を認められていないと信じたいですね。
小林:いずれにしろ、「男系でやれる」というなら、早く手を打ってよ。
八木:まあ、政府がちゃんと検討すると思いますよ。
小林:何だよ、その他人任せの態度は(笑)。
八木:いやいや、私には何の権限もありませんから。
小林:だったら、日本会議と一緒に政府に圧力をかければいいじゃないの。
八木:日本会議はあまりアテにならないでしょう。そういう問題で前面に出て動いたことはないですからね。
小林:そうなの? だって、いつも「男系だ男系だ」と言い張ってるでしょ。まあ、誰でもいいけど、早く政府を突き動かしてくれ。もう時間がないんだから。
●こばやし・よしのり/1953年生まれ。『おぼっちゃまくん』でギャグ漫画に新風を巻き起こす。現在、本誌にて『大東亜論 自由民権篇』を連載中。3月1日頃に『天皇論 平成29年』が発売予定。
●やぎ・ひでつぐ/1962年生まれ。早稲田大学法学部・同大学大学院法学研究科修士課程を経て、同大学大学院政治学研究科博士課程を中退。専門は憲法学。昨年11月、「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」で八木氏にヒアリングが行われた。
●構成/岡田仁志(フリーライター)
※SAPIO2017年3月号