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小倉優子の移籍裁判「タレントは労働者」という判決

芸能人は「労働者」か否か?

 清水富美加(22才)の出家騒動がさめやらぬ中、乃木坂46の橋本奈々未(24才)に続き堀北真希(28才)が引退を発表した。その前も江角マキコ(50才)、成宮寛貴(34才)が電撃引退を発表し、大きなニュースとなった。また、井上真央(30才)、水川あさみ(33才)ら人気女優らが相次いで古巣の所属事務所から独立したことも芸能ニュースを賑わせた。

 引退した人も、独立した人も、出家した人も、その理由はそれぞれ異なるが、芸能人の働き方に大きな注目が集まっている。それは私たち、一般社会でも同じ。数年前から「パワハラ」「ブラック企業」への問題意識が高まり、昨年『電通』の女性社員が自殺したことを受け、一層深刻化。プレミアムフライデー導入など、働き方改革が進められている。

 その動きは芸能界へも広がりを見せている。昨年11月、厚生労働省労働基準局が、一般社団法人日本芸能マネージメント事業者協会、一般社団法人全日本テレビ番組製作社連盟、協同組合日本俳優連合の3団体に向けて《俳優や歌手等の実演家との契約が「雇用契約」ではなくても、働き方が労働者と同様であると判断された場合、その方は労働者として取り扱われます》との文書を送った。

 一般的に芸能事務所が使っているのは『日本音楽事業者協会』が作成している「統一契約書」といわれている。これには芸能人と事務所が互いに対等独立の当事者という認識が記されている。両者は支配従属する雇用関係ではなく「業務委託契約」だ。

 多くの芸能トラブルを扱っている『レイ法律事務所』の佐藤大和弁護士が説明する。

「日本にはいろいろな契約形態がありますが、有名なのは『雇用契約』。これは労働者が働いて給与をもらう契約です。『請負契約』は、例えば家をつくる場合、完成した家を渡すなど、完成した仕事の結果に対して、報酬を受け取る契約です。また『委任契約』というのがあり、弁護士のように法律に関する仕事を依頼され、仕事をする契約です。

 芸能界の『業務委託契約』とは、これらの契約の性質を含んでいて、その多くは、事務所側がマネジメント業務を行い、仕事をとってくる。そしてタレントはテレビや映画などに出演したり、執筆したり、ライブを行ったりした仕事の報酬の一部を事務所側に渡しますよ、という契約になっています」

 今、佐藤弁護士の事務所には、1日に1件は芸能トラブルの相談がきているという。相談の約5割が「今の事務所を辞めたい」「移籍したい」「芸能界を引退したい」。契約の内容、知的財産に関することが3割、残りは起業したいタレントのビジネス問題だ。

「相談の際、契約書を見るのですが、ここが面白いところで、ほとんどのかたが、芸能事務所に入ったら、芸能人になれたと舞い上がって、契約書を読んでいないんです。とにかく売れたいし、仕事が欲しいからそんな契約の話をしたら面倒だと思われることもあるでしょうし、きちんと向き合ってきていないんです。

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