ライフ

【著者に訊け】高橋順子氏 異色作家を描く『夫・車谷長吉』

高橋順子氏が『夫・車谷長吉』を語る

【著者に訊け】高橋順子氏/『夫・車谷長吉』/文藝春秋/1600円+税

 無粋ながら、東京千駄木の、作家の夫と詩人の妻が慎ましく暮らす家に、読んでいるこちらまでが上がり込んでいる気分になった。

 夫は『赤目四十八瀧心中未遂』(1998年)等で知られる直木賞作家・車谷長吉氏。妻は詩人・エッセイストとして活躍する高橋順子氏。2015年5月、誤嚥性窒息死で急逝した夫の三回忌に合わせ高橋氏が書き下ろしたのが『夫・車谷長吉』である。

 後年は強迫神経症や脳梗塞を患い、ふさぎこむことも多かった長吉は、かつて恋文ともとれる〈絵手紙〉を唐突に送りつけ、11通目から4年後に2人は結ばれた。長吉48歳、順子49歳の時だった。そんな出会いのいきさつや、取材や講演に夫婦で連れ立った旅のこと。真っ先に作品を見せ合ったという表現者同士の絆を、著者は22年分、自身の日記を元に克明に記してゆく。

 折々に詠んだ詩句を交え、事実だけを坦々と追う抑えた筆致からは、創作や病に苦しみ、そのくせお茶目でもあった故人の横顔がかえって偲ばれ、かくも端正な詩人の言葉に見送られて、この作家はつくづく幸せだ。

関連記事

トピックス

オリエンタルラジオの藤森慎吾
《オリラジ・藤森慎吾が結婚相手を披露》かつてはハイレグ姿でグラビアデビューの新妻、ふたりを結んだ「美ボディ」と「健康志向」
NEWSポストセブン
川崎、阿部、浅井、小林
〈トリプルボギー不倫騒動〉渦中のプロ2人が“復活劇”も最終日にあわやのニアミス
NEWSポストセブン
驚異の粘り腰を見せている石破茂・首相(時事通信フォト)
石破茂・首相、支持率回復を奇貨に土壇場で驚異の粘り腰 「森山裕幹事長を代理に降格、後任に小泉進次郎氏抜擢」の秘策で反石破派を押さえ込みに
週刊ポスト
別居が報じられた長渕剛と志穂美悦子
《長渕剛が妻・志穂美悦子と別居報道》清水美砂、国生さゆり、冨永愛…親密報道された女性3人の“共通点”「長渕と離れた後、それぞれの分野で成功を収めている」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《母が趣里のお腹に優しい眼差しを向けて》元キャンディーズ・伊藤蘭の“変わらぬ母の愛” 母のコンサートでは「不仲とか書かれてますけど、ウソです!(笑)」と宣言
NEWSポストセブン
2020年、阪神の新人入団発表会
阪神の快進撃支える「2020年の神ドラフト」のメンバーたち コロナ禍で情報が少ないなかでの指名戦略が奏功 矢野燿大監督のもとで獲得した選手が主力に固まる
NEWSポストセブン
ブログ上の内容がたびたび炎上する黒沢が真意を語った
「月に50万円は簡単」発言で大炎上の黒沢年雄(81)、批判意見に大反論「時代のせいにしてる人は、何をやってもダメ!」「若いうちはパワーがあるんだから」当時の「ヤバすぎる働き方」
NEWSポストセブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《お出かけスリーショット》小室眞子さんが赤ちゃんを抱えて“ママの顔”「五感を刺激するモンテッソーリ式ベビーグッズ」に育児の覚悟、夫婦で「成年式」を辞退
NEWSポストセブン
負担の多い二刀流を支える真美子さん
《水着の真美子さんと自宅プールで》大谷翔平を支える「家族の徹底サポート」、妻が愛娘のベビーカーを押して観戦…インタビューで語っていた「幸せを感じる瞬間」
NEWSポストセブン
“トリプルボギー不倫”が報じられた栗永遼キャディーの妻・浅井咲希(時事通信フォト)
《トリプルボギー不倫》女子プロ2人が被害妻から“敵前逃亡”、唯一出場した川崎春花が「逃げられなかったワケ」
週刊ポスト
24時間テレビで共演する浜辺美波と永瀬廉(公式サイトより)
《お泊り報道で話題》24時間テレビで共演永瀬廉との“距離感”に注目集まる…浜辺美波が放送前日に投稿していた“配慮の一文”
NEWSポストセブン
芸歴43年で“サスペンスドラマの帝王”の異名を持つ船越英一郎
《ベビーカーを押す妻の姿を半歩後ろから見つめて…》第一子誕生の船越英一郎(65)、心をほぐした再婚相手(42)の“自由人なスタンス”「他人に対して要求することがない」
NEWSポストセブン