ここで、思うことがある。約四半世紀前、松居一代は自ら撮影したムービーや写真をワイドショーに提供し、自ら再現VTRにも出演し、自分がいかに苦労をしたか、傷つけられたか、恥をかかされたか…などを独白してくれた。私を含め、当時のワイドショースタッフは、ほぼ100%、松居に乗っかるカタチでオンエアしてきたのだけれど…、それは全て真実だったのか?ということだ。
まだ、どこの局も掘り出していないネタに、「我が家のクリーニング代はゼロ円なんです」と松居が言い、布団までをも自宅のバスタブで洗い、水分を含んで重たくなった布団を背負い、階段で屋上まで行き、干す…という話がある。このVTRがきっかけとなって、松居は「家事の達人」として、またワイドショーで持てはやされることとなるのだ。
そんな松居家に外国人のお手伝いさんが居て、掃除は彼女がしているのではないかということをかつてスクープしたのは『女性セブン』で、松居にとって同誌は当時から天敵だったワケだが(苦笑)、そうした“真実”を突き付けられると、あらゆる手段を使って反論してくるのも松居一代だった。
そして、もう一つ、どこの局も気づいていないのは、船越がMCをつとめる『ソロモン流』(テレビ東京系)について、である。松居が船越の出演ドラマの番宣ハガキを手作りし、関係者に郵送。街中でも一般の方たちに配布していたのは有名な話だが、その頃、「私も大好きな番組」とのキャプション付きで『ソロモン流』のPRにも熱心だった松居一代。当時はまだ珍しかった、俳優が情報番組のMCになったこと。それが我が夫だったことを松居は、とても喜んでいたのだ。
が、その『ソロモン流』に出ていた二人の女性が、今回、松居が船越の不倫相手だと疑っている“有名人”。同番組に出た女性出演者はまだまだ居るので、今後また、思わぬ相手に“松居砲”が発射されるかもしれぬ。
さて、このように度重なる逆境にも一人で闘ってきた松居に、中年女性たちが少なからずシンパシーを感じているのは事実。松居と同時期に離婚を経験し、悲しみに暮れるだけだった私もまた「なぜ、松居さんは、こんなにバイタリティーにあふれているのだろう」「なぜ※夫の不倫相手に立ち向かえたのだろうか」と尊敬の念に似た気持ちを抱いた記憶がある。
しかしそれは、繰り返しになるが、松居一代から発せられるエピソードの数々に嘘がなかったならば…に限られる。松居に「成功体験」があるならば、その片棒を担いできてしまったのはワイドショーやスポーツ紙、週刊誌などの芸能マスコミなのである。
とはいえ、そうした媒体を通じて発信されてきた“昔の松居劇場”には、わずかながらストッパーがあったし、いまで言う「コンプライアンス」的な決まり事が全くないわけではなかった。しかし、YouTubeやTwitterをメインとした“今の松居劇場”には、それらが全くないのである。
今は自戒しつつ、見届けるしかない。