そんな2世たちは「芸能界への意識」もドライだ。ブライダルモデルのMattは、将来は音楽で生計を立てていきたいと語り、《今はテレビや雑誌を通して存在を知ってもらう時期だと思っている》(『婦人公論』2017年4月25日号)と語り、テレビ露出は自分の目標のためと割り切っている。
また花田優一もトーク番組に出演した時、「親父のことを聞いてこられるのが悔しい。こういう番組に出るのは靴職人に注目してもらいたいから」と語っている。先日芸能事務所に所属したことがニュースになったが、テレビ出演は自分の夢のためのツールだというわけだ。
紅蘭も、俳優である父の仕事にはそれほど興味がなく、《『真田丸』は4話までしか見ていないんです》(『週刊新潮』2016年10月13日号)と正直に答えている。
その草刈からは《女優やれって、今でも言われます。ただ、女優って本気でやらないとできないから。(中略)人から言われて、やるもんじゃない》とも答えている(『週刊実話』2017年5月25日号)。
子が親の名声をあえて利用しない傾向も顕著だ。ダウンタウン・浜田雅功の息子でロックバンド「OKAMOTO’S」のベーシストであるハマ・オカモトは、浜田の2世であるという事実を発表するなら自分自身のキャリアをしっかりつけてからという本人の意思により公表しなかった。初めてハマが自分から名乗ったのはソニー・ミュージックアーティスツでメジャーデビューして3年後の2013年だった。
寛一郎は映画初出演作となった『ナミヤ雑貨店の奇蹟』には、父が佐藤浩市であることを隠してオーディションを受けた。二宮直彦プロデューサーは「彼の佇まいと目がとても印象的で好感を持ちました」と起用理由を語り、のちに佐藤の名前を聞いて驚いたという。
◆親のサポートは今後、減少傾向に?
一方、親の子育ても変わってきた。小川菜摘はハマの仕事に対して「何ら御膳立てはしてこなかった」という。
また佐藤浩市も寛一郎の俳優活動に一切バックアップすることもサポートもせず、息子に「役者になる」と言われたとき、「そうか」としか答えなかったという。
かつては親が我が子をつれて挨拶回りをしたり、親子共演で名を売ることが多かったが、今後はそうした因習も少なくなっていくのかもしれない。
親の仕事を継ぐという意味では歌舞伎役者や落語家と変わらないものの、タレントの場は「芸の継承」、さらにはそのための指導もない。そこで子どもは華やかな世界で自分を見失ってしまうパターンが多く、悪い方向に出てしまうことがよく指摘されてきた。だが最近の“新2世”たちの活躍を見ていると、芸能人の親も子もようやく意識を改め始めたと言えるのではないだろうか。(芸能ライター・飯山みつる)