◆男同士の友情はホント、謎です
ゴタナカを待ちながら、彼らは知多半島まで深夜のドライブに繰り出したり、イジられ役のシミもさすがにキレたり、いくつになっても男子は男子だった。
「社会的には役職につく人も出向する人もでてくる中で、惰性ではない形で付き合える相手を見つけ始めるのが40代かもしれない。ただ、女から見ると、なぜシミが松井たちと一緒にいられるのかよくわからないし、男同士の友情ってホント、謎です」
が、今再びの青春を謳歌する間にも現実は進行し、実は器用に立ち回る佐藤こそ、女心が最もわからないゲス男だった。真由との関係に甘える佐藤は、〈私のことをどう思ってるんですか〉と聞かれても謝ってばかり。
ひいては〈僕にしてほしいことがあれば、具体的に言ってくれないか〉と答えて読者をも呆れさせる。だが、そんな彼も夫イアーゴーを涙ながらに告発したエミリアの愛の深さに芝居を通じて気づき、衿子との関係を修復するまでには成長する。
「佐藤たちが言葉足らずな登場人物に自分を重ねて反省するように、言葉を尽くさない男も尽くし過ぎる女も、もう少し歩み寄れる部分はあるんじゃないかなって。
一方で〈何でもかんでも打ち明けあうのが本当の友達〉だとは私も思わない。例えば一見爽やかな小柳に何か事情があるらしくても、俺は俺の知ってるあいつを信じられればそれでいいと腹を括れるのが大人の友情で、そう思う自分をもっと信じていいと思うんですね。
確かに彼らは幼いし、とても大人とは言えないけれど、過渡期にあってあがいたり何かを学んだり、かと思うとまた昔に戻ったり、42歳だからこそのしょうもなさが、彼らの魅力でもある」