芸能

妻に先立たれた夫たちが「基金」設立にかける想い

 清水氏が奈緒さんと、奈緒さんの御両親を気遣う気持ちは結婚生活を送っていた当時もいまも全く変わっていない。例えば、テレビ番組が“再現VTR”と共に清水氏や奈緒さんについて報じようとすると清水氏は頑なに拒否する。それは、奈緒さんを女優が演じるのを見た御両親の気持ちを考えてのことだ。子供さんの“顔出しNG”
も貫き続けている。

 10月11日に出る新著『笑顔のママと僕と息子の973日間 シングルファーザーは今日も奮闘中』(小学館刊)のタイトルに「笑顔のママと」を「どうしても加えたい」と担当編集者に強く希望したのは清水氏だったと聞く。清水家はいまも3人家族だということの表れだろう。

 そして、今年6月22日、乳がんで亡くなった妻・小林麻央さん(享年34)のさまざまな遺志を引き継いでいるのが夫で歌舞伎役者の市川海老蔵だ。

 まずは麻央さんが『NEWS ZERO』(日本テレビ系)で植物生態学者、宮脇昭氏を紹介したことがきっかけで14年から続けている植樹プロジェクトだ。麻央さん亡き後の今年も約1500人の一般参加者と共に約1万本の植樹を親子3人で行った海老蔵。

 さらに「彼女(麻央さん)がやりたかったことは全部聞いている」とし、『ピンクリボン』活動のように、チャリティーや基金の設立なども考えていることを明かしている。

 若くして最愛の妻を亡くした鎧塚俊彦氏、清水健氏、そして市川海老蔵による「基金」設立という妻の遺志は、夫たちが亡き妻に注ぐ愛情の証と感謝の表れでもある。最愛の人との死別の経緯や想いは、残された者それぞれにとって、さまざまなカタチがあると思う。そして、残された者は「別れる力」を手中にする。

 筆者は、川島なお美さん、清水奈緒さん、小林麻央さんと近しくさせていただき、仕事で濃いお付き合いをしていた関係で、件の3氏の想いがより深く伝わっている。しかし、私だけではない。若くして妻に先立たれた夫たちが引き継いだ妻たちの遺志が「基金」を通じて多くの人々に伝わろうとしている。

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