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妻に先立たれた夫たちが「基金」設立にかける想い

 設立発表会見で鎧塚氏が明かしたのは、『エンジン01〜』の中心的存在であり、川島さんが生前、姉のように慕っていた作家の林真理子氏の紹介で、オークションに多くの人々が協力してくれたということ。川島なお美さんの告別式で弔辞を詠んだ林氏は「鎧塚さんを決して孤独にはしません。私たち仲間が友情で支えます」と遺影の前で誓っていらした。オークションの専門家を鎧塚氏に紹介し、強力な入札者を募り、結果、高額な値がつくことに貢献したのも林氏だったそうだ。

 告別式でもう一人、弔辞を詠んだのは、川島さんが尊敬し、目標としていた女優、倍賞千恵子だ。倍賞さんもまた『エンジン01〜』に夫婦で所属し、「動物愛護委員会」の委員として各地で啓蒙活動を行っている。

 鎧塚氏は改めて、パワフルで真っ直ぐで何事にも強い信念をもって立ち向かって行った妻の死を振り返り、共に食事をしたり、旅をしたりしていた時間が「ポッカリ空いてしまった」と吐露。

 再婚については「全く考えられないし、そのような予定も全くない」という鎧塚氏は、三回忌の節目に、妻の遺志が反映され、しかも妻の名前が入った基金が設立されたことを「ありがたいこと」と天国の妻と分かち合うかのように空を仰いだ。

 妻の死後、基金を設立した夫と言えば、元・読売テレビの人気アナウンサー、「シミケン」こと清水健氏の活動も浮かぶ。妊娠発覚後、進行が速く悪性も強いトリプルネガティブの乳がんに侵され、それでも「夫婦と、お腹にいる赤ちゃん3人で生きていく」ことを決意した清水氏と妻の奈緒さんだったが、奈緒さんは出産後、わずか112日で天に召される。29才という若さだった。

 その経緯は、ベストセラーとなった『112日間のママ』(小学館刊)にくわしく、妻の死後、仕事復帰した清水氏は、週末などの休日を利用し、公演活動をスタート。「一人でも笑顔の人が増えてほしい」「一人でも悲しむ人が減ってほしい」との強い想いで、著書の印税を元に「一般社団法人 清水健基金」を設立した。

 これは、清水氏が妻の奈緒さんの遺志を受け継ぎ、必要な医療サービスが、必要とする人々に行き渡り、心身ともに豊かな生活が実現されることを目的としている。

 奈緒さんや一人息子さんと共に壮絶な闘病生活を経験した清水氏だからこそ知ることができた膨大な医療費や、医療現場の現実…。基金は、その想いを多くの人々に届けることに役立っている。

 鎧塚氏は妻の名前を基金に入れたが、清水氏は妻ではなく自分の名前を入れた。理由は、清水氏の妻・奈緒さんが一般のかたであることが大きい。

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