さらに、「日本テレビアナウンサー」という立場をしっかりわきまえているので、加藤浩次や近藤春菜に多少きついツッコミをされても、タレント的なリアクションをすることもないし、『ヒルナンデス!』で多発していた“アクション”もしっかり封印してきたのである。
阿部祐二を始めとしたリポーター陣や気象予報士など、“出入り業者”にも、水卜アナは「出ていただいている」という姿勢で彼らに礼儀正しく接する。もっとも驚いたのは、出演者全員が厳しくツッコむ月〜木の「天の声さん」(山里亮太)に対しても水卜アナは終始丁寧で、コーナー終わりに一人、頭を下げるのだった。
新卒で各局のアナウンサー試験を受けた際、唯一、手を挙げてくれた日テレに心から感謝し、「他局は見ない」とも言っていた水卜アナの愛社精神は元々高かったが、ここまで人気アナに成長しても尚、低姿勢で、局アナという立場をわきまえているのは立派すぎるだろう。
今夏の『24時間テレビ』の番宣を兼ねて、『1周回って知らない話』のゲストにやってきた水卜アナが、大先輩の徳光和夫や羽鳥慎一と同じぐらい『24時間テレビ』についての知識が豊富で、深い愛情をもっていたことにも驚かされた。
だが、徳光アナが解説する初回のエピソードや大物ゲストの歴史などには、スタジオに居る10代、20代の“イマドキの視聴者”と同じように大きなリアクションをし、「もっと知りたくなりました」「この先も見てみたいという気持ちになりました」と自身の役割を120%理解し、前のめりで番組に参加する水卜アナ。
見た目でずいぶん得をしているのかもしれないが、過去の日テレのスター女子アナ、例えば笛吹雅子アナ、永井美奈子アナ、関谷亜矢子アナ、馬場典子アナ、西尾由佳理アナらの一生懸命さや前のめり感ともまた一線を画す水卜アナなのだった。
そうかと思えば、「水卜会」なる食事会や飲み会を定期的に開き、男子でも女子でも後輩アナを招き、相談にのったり、アドバイスをしたりしている姉御肌的な面もある。
最近は共演する芸人やタレントから二言目には「いつフリーになるの?」と聞かれる水卜アナだが、彼女に限っては、ならないのではないか。ここまで日本テレビを愛し、出過ぎることもなければ偉ぶることもなく、どんなネタが飛び込んできても真摯に取り組み、局アナとしてのルールを守りながら伝え続ける水卜麻美アナは、タダモノではない、女子アナの中の女子アナなのかもしれない。