「田舎の人間だからかもしれませんが、両親からは“30代で未亡人になんてなったら、その先の人生真っ暗だよ。旦那さんには悪いけど、今は自分の未来を考えなさい”などと言われました。当初はそんなことできないと突っぱねていましたが、夫の人格が変わっていくうちに、両親の言う通りかも…なんて思うようになりました」

 仕事の合間を縫って、入院中はほぼ毎日、病院に通った由美さん。だが、時には仕事の都合で遅くなることもあった。すると夫は「お前は外の世界で生きられていいな。楽しいんだろ」と妻をなじった。

「夫に後ろめたくて職場と病院以外の場所に行くこともなく、全然遊びにも行かなかったけど、“他の奥さんは朝から晩まで看病してくれるのに、なんでお前はちょっとの間しか来られないんだ!”などと毎回怒鳴られて精神的にまいりました。あまりのつらさに言ってはいけないとわかりつつも、“死んじゃえばいいのに”と口走ってしまったこともありました。

 看病することを夫が“当たり前”と考えるようになって、私をどんどん追い込みました。日増しに“私の人生はこれでいいのか”と悩むようになった。夫には申し訳ないですが、憎しみを覚えるようになり、最終的には、新しい道に進もうと決断しました」(由美さん)

 由美さんは夫の放射線治療がひと段落したことをきっかけに、現在は離婚に向けた協議を進めているという。離婚カウンセラーの岡野あつこさんが語る。

「多くの女性が病気になった夫を抱えた場合、献身的に尽くさなければなどと考えます。世間体もありますし、軽々しく離婚など考えられないかもしれません。しかし、看病する自分が壊れてしまっては何の意味もなしません。もちろん批判を浴びることもあるでしょうが、必ず周囲に味方はいます。離婚という選択肢も頭の片隅に入れておくのは決して悪いことではないと思います」

※女性セブン2017年10月26日号

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