ある地方議員が確認のため館内に入ろうとすると、「許諾権限は中国にある」と拒否されたという。押し問答の末、「見たものを一切口外しない」との誓約書を書いて3mだけ館内立ち入りが許された。その時、体育館にいたのは中国人だけだった。
総領事館内ならともかく、市の施設での治外法権は本来なら成立しない。中国は少しでも隙を見せれば強権的に物事を遂行する。このまま北海道にアンタッチャブルな集落が乱立して中国に勝手な口実を並べられたら、日本の主権が奪われて国家が成り立たなくなる。
最大の問題は、世界の多くの国が外国人の土地所有を禁じるか、厳しく制限する一方で、日本は野放し状態であることだ。しかも日本の土地所有権は法律的な権限が強く、一度買われるとなかなか取り戻せない。
実際に“韓国化”の進む対馬では、韓国資本が買い占めた土地を後に自治体が買い戻そうとしたが、5000万円で売った土地に4億円の“言い値”がつき、いまだ買い戻せていない。
中国資本による土地買収は合法的であり、日本にそれをとやかく言う権利はない。中国が日本に仕掛ける「武器を持たない、目に見えない戦争」に勝つためにも、外国人の土地所有を規制する法の整備を早急に求めたい。
●みやもと・まさふみ/1953年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、産経新聞社入社。社会部編集委員、那覇支局長などを経て現職。侵食される北海道の現状を取材した近著『爆買いされる日本の領土』(角川新書)ほか著書多数。
※SAPIO2017年11・12月号