国内

天皇皇后両陛下「退位のパレード」 前例ないからこそ可能か

天皇皇后両陛下の退位パレードに期待も(撮影/雑誌協会代表取材)

 皇居から東京駅に向かう長さ190m、幅73mの壮観な一本道は、天皇が各地にお出ましになる際に通られたことから、「行幸通り」と呼ばれている。12月10日、雲一つない冬晴れの下、行幸通りから、普段は閉ざされている坂下門を通り、皇居の中まで長い行列が伸びていた。その日は皇居・乾通りの秋の一般公開最終日だった。

 天皇陛下の傘寿を記念して2014年春に初めて公開された乾通りでは、春は満開の桜が、秋は鮮やかな紅葉が参入者を迎える。今期間中の12月8日、陛下の退位日が決まったということもあり、12月2日からの9日間で約22万6000人が“都心の秘境”で厳かな秋の風情を楽しんだ。

 退位日が定まったことで、関連行事の調整が急ピッチで進められていくことになる。平成に続く新たな元号は、2018年の秋頃に発表される見込みだ。そんな中、宮内庁内部でこんな議題が持ち上がっている。

「陛下と美智子さまのお姿を国民に見せる『退位のパレード』を行おうというのです。退位までは行事が詰まっていて多忙であれば、退位からしばらくして、皇居から赤坂東邸や高輪皇族邸に引っ越されるタイミングも検討されています。これは、両陛下のお気持ちを受けてのことだそうです」(宮内庁関係者)

 現在の皇室典範では、皇位の継承は天皇の崩御によってのみ行われてきた。生前退位は「想定外」であり、もちろん過去にパレードが行われたこともない。

「前例がないわけですから、退位にまつわるどのような儀式や行事を行うかは、これから決定していくことができます。つまり、両陛下のお気持ちに寄り添った“花道”を用意できるんです」(前出・宮内庁関係者)

 1959年の「世紀のご成婚」のパレードには、空前の「ミッチーブーム」を巻き起こされた美智子さまのお姿を一目見ようと沿道に53万人が駆けつけた。

 1990年11月の即位の礼「祝賀御列の儀」では、オープンカーに乗った両陛下と共に、12万人が新時代の幕開けをその目に焼きつけた。

「今回の生前退位では、もちろん皇太子さまと雅子さまの即位の礼のパレードは行われるでしょう。その一方で、退位される陛下や美智子さまが国民の前にお姿を見せる機会があるかどうかが、まだはっきりしません。

 両陛下は退位された後、新天皇・新皇后や秋篠宮ご夫妻に一切の公務を譲られ、上皇・上皇后としてのご活動もなるべく一般の目に触れないようにご配慮されるのではないかといわれています。そうすると、もし退位関連の儀式や行事が、皇居内の“密室”のもので終わってしまうと、この先、国民が両陛下のお姿を見る機会はまったくなくなってしまうことになります。

 両陛下には、30年の在位の間の感謝を国民に直接伝えたいというお気持ちがあるようです。他の行事の妨げにならない時期でいいので、パレードを行い、国民にお礼をしたいということではないでしょうか」(前出・宮内庁関係者)

撮影/雑誌協会代表取材

※女性セブン2018年1月1日号

関連記事

トピックス

上原多香子の近影が友人らのSNSで投稿されていた(写真は本人のSNSより)
《茶髪で缶ビールを片手に》42歳となった上原多香子、沖縄移住から3年“活動休止状態”の現在「事務所のHPから個人のプロフィールは消えて…」
NEWSポストセブン
ラオス語を学習される愛子さま(2025年11月10日、写真/宮内庁提供)
《愛子さまご愛用の「レトロ可愛い」文房具が爆売れ》お誕生日で“やわらかピンク”ペンをお持ちに…「売り切れで買えない!」にメーカーが回答「出荷数は通常月の約10倍」
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《10代少女らが被害に遭った“悪魔の館”写真公開》トランプ政権を悩ませる「エプスタイン事件」という亡霊と“黒い手帳”
NEWSポストセブン
「性的欲求を抑えられなかった」などと供述している団体職員・林信彦容疑者(53)
《保育園で女児に性的暴行疑い》〈(園児から)電話番号付きのチョコレートをもらった〉林信彦容疑者(53)が過去にしていた”ある発言”
NEWSポストセブン
『見えない死神』を上梓した東えりかさん(撮影:野崎慧嗣)
〈あなたの夫は、余命数週間〉原発不明がんで夫を亡くした書評家・東えりかさんが直面した「原因がわからない病」との闘い
NEWSポストセブン
テレ朝本社(共同通信社)
《テレビ朝日本社から転落》規制線とブルーシートで覆われた現場…テレ朝社員は「屋上には天気予報コーナーのスタッフらがいた時間帯だった」
NEWSポストセブン
62歳の誕生日を迎えられた皇后雅子さま(2025年12月3日、写真/宮内庁提供)
《愛子さまのラオスご訪問に「感謝いたします」》皇后雅子さま、62歳に ”お気に入りカラー”ライトブルーのセットアップで天皇陛下とリンクコーデ
NEWSポストセブン
竹内結子さんと中村獅童
《竹内結子さんとの愛息が20歳に…》再婚の中村獅童が家族揃ってテレビに出演、明かしていた揺れる胸中 “子どもたちにゆくゆくは説明したい”との思い
NEWSポストセブン
日本初の女性総理である高市早苗首相(AFP=時事)
《初出馬では“ミニスカ禁止”》高市早苗首相、「女を武器にしている」「体を売っても選挙に出たいか」批判を受けてもこだわった“自分流の華やかファッション”
NEWSポストセブン
「一般企業のスカウトマン」もトライアウトを受ける選手たちに熱視線
《ソニー生命、プルデンシャル生命も》プロ野球トライアウト会場に駆けつけた「一般企業のスカウトマン」 “戦力外選手”に声をかける理由
週刊ポスト
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン