『72時間…』の時、関連キーワードがツイッターのトレンド世界一になったり、放送に関連した記事が大量にネット上に流れたことから考えても、「ネットで情報発信」→「ネットで記事化」→「ネットでその件が話題となり拡散」という流れを3人はおおいに実感したことだろう。これを見ていたジャニーズの所属芸能人にしても「なぜ、オレはネットで活動できないんだ……」と忸怩たる思いを持った者もいることだろう。
今回の件については広告業界も影響していると感じる。昨今の企業宣伝部が重視するのはネットだからである。テレビCMを作っても、その後どれだけネットで話題になるかが重要成功指標だし、ネット限定の長尺動画CMも存在する。それなのにジャニーズ芸能人を使うと無慈悲な「ネットNG」という通達が来る。
「そんなことを言うのなら、彼らを使う必要はない。高いカネを払って契約しているのに、今の時代に“ネットNG”って意味が分からない。我々はネットを重視しているのだから、協力的な人を使いたい。オレらカネ払ってるのよ」(広告代理店営業)
こんなコメントもあるだけに、ネット重視の企画をする場合、ジャニーズは当初のキャスティング候補から外れることとなる。多額のカネを稼ぐ広告契約で「ネットNG」方針が足枷になっているのを自覚し、これからの“ネット全面解禁”への布石を打ったのであれば、それは正しい判断だ。
●なかがわ・じゅんいちろう/1973年生まれ。ネットで発生する諍いや珍事件をウオッチしてレポートするのが仕事。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』など
※週刊ポスト2018年1月26日号