芸能

俳優・堤真一が描く夢は「60過ぎたら演出家」

堤真一と宮沢りえが出演する舞台『近松心中物語』より(撮影:宮川舞子)

「人前で台詞を言うのが恥ずかしくって、役者になりたいとは思っていなかった」

 取材中、堤真一(53)は思いも寄らない言葉を口にした。

 いまや舞台にテレビ、映画にナレーションと多方面で活躍する堤だが、自らの原点は舞台だと断言する。1月10日には、堤と宮沢りえが主演する舞台『近松心中物語』が初日公演を迎え、会場となった新国立劇場中劇場は大きな拍手に包まれたばかりだ。

 物語の舞台は元禄時代、大坂の遊郭。堤が演じる飛脚屋の養子・忠兵衛は、遊郭とは縁遠い生活を送っていたが、偶然見かけた遊女の梅川(宮沢)と許されない恋に落ちていく。

 1か月前、張りつめた空気が漂う稽古場には、鋭い眼光で芝居と向き合う堤の姿があった。「ここで腰をかけたほうがいいかな?」などと演出家と話し合いながら、共演者と一緒に立ち位置や身のこなし方、台詞のタイミングを幾度も確認する。

「高校生の頃なんて、将来何をやりたいかすらよくわからなかった。体を動かすのが好きだったからアクションをやりたいと上京したけど、東京にずっといたいという思いもなかった。ある程度お金を蓄えたら地元の兵庫・西宮に帰って、料理が好きなおふくろとちょっとした小料理屋をやれたらいいかな、くらいに考えていました」

 アクションの道を目指した堤だったが、演劇の世界に魅せられたきっかけは、1985年に手伝った坂東玉三郎主演の『天守物語』だった。姫路城の天守閣に住む妖怪の姫と、人間の男が恋に落ちるという泉鏡花の戯曲が、舞台の上で幻想的に表現されるのを目の当たりにして衝撃を受けたという。

「衣装を纏った役者さんと、照明が当たった舞台があまりにも美しくて。映像でなく、生で具現化できる世界があったのかと、感動しました。僕は獅子舞の前足を動かす黒子にすぎなかったけれど、何らかの形で舞台に関わっていきたいと決めたんです」

関連記事

トピックス

どんな役柄でも見事に演じきることで定評がある芳根京子(2020年、映画『記憶屋』のイベント)
《ヘソ出し白Tで颯爽と》女優・芳根京子、乃木坂46のライブをお忍び鑑賞 ファンを虜にした「ライブ中の一幕」
NEWSポストセブン
相川七瀬と次男の凛生君
《芸能界めざす息子への思い》「努力しないなら応援しない」離婚告白の相川七瀬がジュノンボーイ挑戦の次男に明かした「仕事がなかった」冬の時代
NEWSポストセブン
俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
世界が驚嘆した大番狂わせ(写真/AFLO)
ラグビー日本代表「ブライトンの奇跡」から10年 名将エディー・ジョーンズが語る世界を驚かせた偉業と現状「リーチマイケルたちが取り戻した“日本の誇り”を引き継いでいく」
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン
豪雨被害のため、M-1出場を断念した森智広市長 (左/時事通信フォト、右/読者提供)
《森智広市長 M-1出場断念の舞台裏》「商店街の道の下から水がゴボゴボと…」三重・四日市を襲った記録的豪雨で地下駐車場が水没、高級車ふくむ274台が被害
NEWSポストセブン
「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
アニメではカバオくんなど複数のキャラクターの声を担当する山寺宏一(写真提供/NHK)
【『あんぱん』最終回へ】「声優生活40年のご褒美」山寺宏一が“やなせ先生の恩師役”を演じて感じた、ジャムおじさんとして「新しい顔だよ」と言える喜び
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト