マイは港区女子として、ハイスペの中でも“桁違い”なお金持ちおじさんをターゲットに活動していた。そして、年上好きでもあった。そんなマイにとっても、イチロウはちょうどよかった。2人は港区飲み会で出会い、付き合い始めた。
イチロウは、成功者である。ただ可愛いだけの女ではない、将来に向かって働くマイの姿勢、必死な姿に心を打たれた。いずれはエステサロンの資金を援助しようと思っていた。
付き合って5か月を過ぎた頃、マイは妊娠した。そこらの既婚港区おじさんなら、少しはうろたえるだろう。
だがイチロウは、「これぞ男のロマンだ」と喜んだ。妻が応じないから離婚はできないが、自分が愛する女の子と新しい家庭を築きたい、そんな夢もあった。
マイもまた、「認知さえしてくれたらいいよ」「将来はエステサロンの資金も出してね」という約束のもと出産することを望んだ。マイは、イチロウの住まいのすぐそばに、2LDK・80平米のマンションを買ってもらった。
マイは幸せだという。もともと結婚願望はない。自分の夢を叶えてくれる男性と付き合いたかったし、子供も欲しかった。ラッキーは舞い降りた。
イチロウは、只者ではない。月収5000万の成功者である。見た目だって悪くない。マイ以外にも彼女がいる。妻以外に何人子供ができようがお金に困ることはないと豪語している。むしろ今回の出来事は、彼に自信をつけ勢いを加速させたようだ。
マイが妊娠生活を送る傍ら、今日もイチロウは夜の街で「子供、欲しい子はいない?」とストレートな言葉で港区女子を口説き漁っている。
このイチロウを「クズ男」と見るか、「足長おじさん」と捉えるか。港区女子たちの間でも意見は分かれるところだ。少なくとも、一般とは乖離した世界であることは事実だろう。