1971年に岐阜県で生まれ、病気で左耳を失聴したヒロイン・鈴愛(永野芽郁・18才)が、失敗を繰り返しながらも持ち前の行動力で現代まで懸命に生き抜く姿を描くNHK連続テレビ小説『半分、青い。』。この朝ドラの中で、話題を集めているのが濃すぎるキャラの少女漫画家を演じる豊川悦司(56才)である。その魅力についてコラムニストのペリー荻野さんが解説する。
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いよいよ東京編に突入する『半分、青い。』の登場人物の中で、今、誰よりも目が離せないのが、大御所漫画家・秋風羽織役の豊川悦司である。
大人気の少女漫画家・秋風は、これまで顔出ししてこなかったが、突如としてサイン会とトークショーを開催する。出てきた本人は黒ずくめのぞろりとした服装で、ロン毛に黒サングラス。「みうらじゅん…」と思ったのは私だけではないと思う。トークショーでは司会(加藤綾子)に累計5000万部を売りあげた感想を聞かれても「別に…」とどっかで聞いたことがあるようなそっけない回答。
続いて「ひとことで言って先生にとってマンガとは」と質問をされると、「ひとことで言えるものなら、私が命をささげるわけがない。君とは会話が成立しない」と、ゴツン!と思いっきりマイクを置く音をさせ、会場のファンにお詫びして去ってしまった。
ミステリアス…。しかし、秋風は主人公の鈴愛(永野芽郁)が差し入れた自家製五平餅に感動し、彼女を弟子にと誘う。一方で「怒りの沸点が低い」マネジャー(井川遥)の言動におびえたりする。「面白おじさん」なのである。
テレビ東京の『バイプレイヤーズ』の面々や今期の『おっさんずラブ』の吉田鋼太郎など、面白おじさん俳優の活躍が目立つ。そこに突如参戦したかに見える豊川悦司。しかし、彼の場合、立ち位置は独特だ。なにしろ、常に顔が険しい。五平餅に感動しているときも、事務所でアシスタントととぼけたやりとりをしているときも、常に眉間には深いしわ。ほかの面白おじさんたち、たとえば遠藤憲一が近頃ではふにゃっとした笑顔でCMにも引っ張りだこのことを思うと、豊川は『アタックNeo』のCMで悪臭菌になろうともしわは消えてない。