今井が北朝鮮外交に熱を入れ始めたのは、内閣情報官の北村滋と内閣参与の飯島勲の影響が大きいとされる。警察庁出身の北村と今井はともに第1次安倍政権時代からの秘書官仲間であり、外事畑の長い北村は北朝鮮問題のスペシャリストでもある。また、飯島は小泉政権の政務秘書官として2度訪朝してきた。小泉訪朝時には外務省アジア大洋州局長だった田中均と決裂し、その後、独自の北朝鮮ルートを開拓してきたとされる。
「今井さんは飯島さんにモンゴルルートを紹介され、その気になっているようです。飯島ルートを使い、モンゴルでの日朝首脳会談を視野に入れているのではないか、ともいわれています」(外務省OB)
その今井は近頃、北朝鮮外交における持論を周囲に披露する機会がめっきり増えている。次のようなアンバイで、親しい番記者相手に言い放っているという。
「日本の独自制裁なんてほとんど意味はない。なにより金正恩が気がかりなのは、今の体制が脅かされることなんだから、交渉相手はアメリカのトランプでしょう」
北朝鮮問題でも、当人は自信まんまんの様子だ。今井の描く朝鮮半島の非核化プロセスは、昨今、縮小が囁かれている在韓米軍の撤退ではなく、あくまで米軍の脅威をちらつかせながらの交渉だそうだ。そのなかで国際原子力機関(IAEA)の査察に踏み込み、査察費用を日本が持つという発想らしい。複数の官邸関係者に聞くと、今井は周囲の人間にこうもぶち上げているという。
「日本だけが北朝鮮に最大限の圧力を掛け続けるといっても仕方ない。発想を変えなければ。拉致問題は日本にとって弱みのように見られるけど、強みでもある。北朝鮮は拉致解決をちらつかせて日本政府からカネを狙っている。それなら、そこをうまく利用すればいいじゃないか」