そう話すのはある古参力士だ。たしかに、2007年の名古屋場所直前には、時津風部屋の現地宿舎で入門したばかりの序ノ口力士が、稽古に名を借りた“暴行”を受けて死亡する事件が起きている。その前年には露鵬と千代大海が取組後に土俵下で口論となり、怒りの収まらない露鵬が風呂場のガラスを拳で叩き割った。露鵬はその日のうちに審判部室で厳重注意を受けたが、帰り際に報道陣に取り囲まれた際、カメラマンに平手打ちを食らわせてさらに騒ぎを大きくした。
「2003年の名古屋では、8日目の取組後の風呂場で出くわした当時の横綱・朝青龍と平幕・旭鷲山が、言い争いを起こしたこともあった。5日目に朝青龍が旭鷲山の髷をつかんで“反則負け”となっていたのが伏線となり、同じモンゴル出身の先輩である旭鷲山が“(風呂場を)出るときに、ヒジがぶつかった”と因縁をつけて騒ぎになった」(同前)
露鵬が暴れたのも、朝青龍と旭鷲山のケンカも風呂場だった。これには名古屋場所の会場(ドルフィンズアリーナ)の“特殊な構造”が関係しているとされる。
「東西の支度部屋にそれぞれ風呂場がある他の本場所会場と違って、名古屋では東西の力士が使う風呂場が隣り合っているんです。だから、その日に土俵で対戦した力士が顔を合わせてしまうことも多い。張り手を食らったとか、立ち合いで変化されたといったことに一方が腹を立てていると、興奮した状態のまま顔を合わせてしまう。東西の支度部屋の入り口も隣接しているので“危険なニアミス”が起こりやすいんです。露鵬や朝青龍といった外国人力士がこれまで問題を起こしてきただけに、栃ノ心や白鵬が何か騒ぎに巻き込まれないかが心配されている」(別の協会関係者)
栃ノ心の昇進場所優勝がかかった今年の名古屋も、土俵上が白熱するのは間違いない。15日間のうちに何か“事件”が起きるのか。