◆中3に「非情な通告」も

 関西会場には、この夏こそ石川大会の初戦で敗れたものの、急速に強化を進めて強豪となった日本航空石川・上田耕平コーチも来場していた。目的は、他の学校関係者とは少し異なる。

「石川だと、歴史のある星稜さんが人気で、県内の中学生の目はどうしてもそちらを向く。星稜さんの付属中学には強豪の軟式野球部があって、そこからも入部してくる。星稜さんとは異なる選手獲得のルートを開拓すべく、ここに来ました」

 しかし、続けてこう嘆息した。

「トライアウトに参加するような選手たちは現時点(5月)で既に進路が決まっているか、何校かに絞っているような状況ですね。そこに割って入るというのはなかなか難しい」

 大阪桐蔭、横浜、浦和学院、中京大中京や東邦など、甲子園の常連校は、侍ジャパンに入るような逸材に早くから目をつけ、彼らが侍戦士となる頃には既に“一本釣り”に成功している。

 全国からプロ予備軍のような選手が集まる大阪桐蔭について、「あれだけの戦力があれば私でも勝てる」と嘯いたのは明徳義塾・馬淵監督であるが、こうした中学生の早い段階から選手を囲い込むような勧誘に批判の目を向ける高校野球関係者は少なくない。

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