「昔は、治験は安全面のルールがあいまいで危険も伴ったので、人知れず細々と行われるケースが多かった。しかし、最近は法律も整備されてきたので、意識の高いドクターが積極的に治験に参加するようになりました。大学病院としても標準治療以外の“強み”を得ようと意欲的に治験を取り入れ、“治験に取り組んでいること”をアピールするケースも増えています。

 まずは主治医に相談してみるのも手ですが、一般の病院の医師は、日々更新される新しい治験の情報になかなかついていけない。そのがん分野を研究する専門的な医師にアドバイスを求めるのがいいでしょう」

 冒頭で登場した中村医師は長くアメリカで活躍していたが、がんに苦しむ日本人のために日本国内で治験をし、新たな治療法を確立したいとの強い思いから帰国し、今年7月、「がん研究会 がんプレシジョン医療研究センター」の初代所長に就任した。

 中村医師は、《治療の選択肢がなくなってしまった患者さんができるだけ参加できるように、少なくとも今年度中には民間病院の主導によるがん治療の治験を始めたい》(『フライデー』8月10日号インタビュー)と語っており、治験の行方が注目される。

 こうした治験に参加するコツを室井さんが指摘する。

「治験は参加できる患者の人数が限られていて、締め切りもあります。日ごろからこまめに情報収集をすることが大切です。治験情報については、治験の窓口的な団体である『日本製薬工業協会』のホームページや、『日本医薬情報センター』がネットで公開する医薬品情報データベースで調べることができます」

 研究段階の医療を受ける方法として「治験」が優れているのは、基本的に診療費が無料になるという点だ。

 本来、新薬や新治療法の研究には莫大な費用がかかるので、治療費も高額になりがち。しかし、治験は“将来の患者”のための研究であり、そのためのボランティアという考え方なので、患者の負担がかなり低く抑えられるのだ。

◆中国で治療する選択肢もある

 2つ目の方法は、自費で治療を試みることだ。意外だが、国が承認していない薬や治療法でも、保険は適用されないので費用は高めになるが、実施してくれる病院は少なくないという。内科医で医療ガバナンス研究所の上昌広さんが言う。

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