実は「女優と芸人」の“逆”、「男優+女芸人」も広まりつつある。過去、『アフラック』のCMでは西島秀俊と渡辺直美が夫婦となり、さらにはドコモのCMでも綾野剛とハリセンボン近藤春菜が夫婦として共演。制汗剤『8×4』の新CM「パウダースプレー ニオイチェッカー篇」には、横澤夏子と要潤がともに出ている。いずれにしてもお笑い要素が加わることで、商品への訴求をより身近なものにしてくれるというのは間違いなさそうだ。
もちろん、役者同士のCMはたくさんある。最近の例を挙げれば、『au』のCM『意識高すぎ高杉くん』で共演しているのは松本穂香と神木隆之介であるし、『WOWOW』のCMでは有村架純と柳楽優弥がカップル役で出ている。ANAの国内線無料Wi-Fiサービスを紹介するCMでは、姉弟役として綾瀬はるかと吉沢亮が登場していたこともある。
しかし、その相手役がお笑い芸人になるだけで、一瞬にして「安心感」が湧いてくるのは彼らの強みだろう。それが非炎上キャラなら、今の時代、企業には求められるは当然だ。また、CMの中とはいえ、役者同士のカップル役は、ファン感情を考慮し、なるべく避ける所属事務所もあるかもしれない。
このように、すべてにおいて角が立たず、CMにピリリとスパイスを利かせてくれる薬味のような芸人たち。その役割は、単純に笑わせるという本来の仕事を越えて、ますます広がっていくことだろう。(芸能ライター・飯山みつる)