芸能

北川景子「ネット記者」と岡田将生「落語家」、その演技力

美貌のみならず演技力にも定評

 美しい造作は俳優として有利な条件のひとつだが、それですべてがまかなえるわけでは当然ない。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が、秋の夜長を彩る2つの作品とその演者の出来について指摘する。

 * * *
「どアップに4分間耐えられる美貌」が話題になった北川景子さん。バラエティ番組で「瞬きを一度もしない」挑戦をし、顔が大写しになったまま4分が経過。まったく瞬きしない根性も凄いけれど、それ以上に「大写しで見続けること」が苦にならないほどの北川さんの美しさに、視聴者は改めてびっくりさせられました。

 そう、「北川景子」と聞けば、まずは「美人」というワードが来ます。しかし、その「美しい」印象がしだいに後方へと退き、かわりに「ネット記者」としてのリアルな姿がぐいぐいと前面に出てくるからこのドラマは面白い。

 NHK総合土曜ドラマ『フェイクニュース あるいはどこか遠くの戦争の話』(20日/27日午後9時)で、北川さんは新聞社からネットメディアに出向中の女性記者・東雲樹を演じています。まず注目点は、北川さんの役者としての集中力、そして自分を捨てて別の者に成り切る演技力でしょう。

「つぶやきは、感情を食べて怪物になる。」、それがドラマのキャッチコピー。物語は、インスタント食品に入った青虫がSNSで拡散されるところから始まります。いったい誰が、何の目的で発信したのか。裏が取れない情報に、感情的に反応し瞬時に拡散させていく人々。つぶやきは思わぬ方向へと広がり、出来事を作り出していく。釈然としない思いを抱き、真実を追い求める東雲記者の芯の強さ、仕事にかけるプライド──。

 身のこなし方、視線の動かし方、しぐさ、服装から言葉遣いまで。北川さん演じる「ネット記者」像は、なかなかリアリティに溢れています。そしてネットニュースに携わる業界人しかこだわらないような、PV(ページビュー)だのCMS(コンテンツ管理システム)だの、細部のリアルまで作り込み、手を抜かず忠実に描き出していく。

 それもそのはず。ハフィントンポスト日本版の記者が「ネットメディア考証」に加わり、ニュース記者にもヒアリングした上で制作されたそう。ちなみに脚本は『逃げるは恥だが役に立つ』『獣になれない私たち』と話題作連発中の野木亜紀子さんによるオリジナル。

 まさしくリアリティ徹底追求の秀作ドラマですが、もう一点気になるのが、実はサブタイトル。ちょっと見過ごされがちですが、タイトルに続いてこんな文字があります。

「あるいはどこか遠くの戦争の話」

 いったいどんな意味が込められているのか。“フェイクニュース”という言葉は、当初はメディアサイドが虚構のニュースを報道することを指しましたが、だんだんにその意味が拡大し「事実ではない、虚偽・デタラメな内容の情報・報道の総称」(IT用語辞典 Weblio辞書)。そんな現状の中で、「あるいはどこか遠くの戦争の話」とは、いったい何を指し示しているのか。

関連記事

トピックス

六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
高市早苗総理の”台湾有事発言”をめぐり、日中関係が冷え込んでいる(時事通信フォト)
【中国人観光客減少への本音】「高市さんはもう少し言い方を考えて」vs.「正直このまま来なくていい」消えた訪日客に浅草の人々が賛否、着物レンタル業者は“売上2〜3割減”見込みも
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン