3年前に設立されたライオン基金は、大規模災害の被災者への支援活動や、高校生ボランティアなど若い世代の「ささやかで偉大な」活動を応援する活動に取り組んできた。

 ぼくも、評議員の一人。2年前の台風による水害を受けた南富良野、昨年の九州北部豪雨で被害を受けた朝倉市などを、彼と一緒に何度も訪ねた。今年は、7月の西日本豪雨で被害を受けた総社市を訪ねたが、そこで高校生たちのすばらしい活動に出会った。

「私たち高校生に何かできることはありませんか?」

 避難指示が発令された7月7日、総社市の片岡聡一市長に宛て、高校1年の女の子がメールを送った。

「市役所へ手伝いに来てください」

 片岡市長の返信を受けて、多くの高校生が続々と集まってきた。情報はSNSで拡散され、4日間で1700人以上の高校生が、泥のかき出しや家具の搬出、支援物資の仕分けと受け渡し、避難所の食事配布や清掃などを行なった。

 総社市は、死者4人、全壊78棟、大規模半壊168棟、半壊351棟という大きな被害を出した。さらに追い打ちをかけるように、アルミ工場で浸水による爆発事故も発生。自然災害だけじゃなく、人災も加わってしまったと憤っていた住民たちは、高校生たちの懸命に体を動かす姿を目の当たりにし、前を向いて生きようという気になったという。

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