3年連続で優勝を逃した1999年オフには、ダイエーから翌年37歳を迎える工藤公康をFAで獲得。トレーニング法などを絶えず追求する工藤の姿勢は、チームメイトに刺激を与えた。マウンドでも先発の柱として12勝を挙げ、6年ぶりの日本一に導いた。
「落合も工藤も、野球への探究心が並外れていた。落合は松井秀喜の成長に間違いなく影響を与えたし、工藤は自主トレに連れて行った育成上がりの山口鉄也を徹底的に鍛え、チームに欠かせないリリーバーに育てました。2人も野球のことを語らせたら、何時間でも喋っているタイプ。それほど知識が豊富で、理論を持っている」
今年、巨人が獲得を目指しているFA選手の来季の年齢は丸が30歳、炭谷が32歳。まだ中堅と言っていいだろう。
「現在は選手寿命を伸びましたが、当時の落合や工藤は大ベテランだった。あの頃の巨人はマスコミの注目度が桁違いで戸惑いはあったはずだが、年齢を重ねていたし、ある程度マイペースで振る舞えた。また、自分の知恵を授ける余裕もあった。
仮に丸や炭谷が入団したとしても、精神的支柱になれるかは不透明。まずは自分のことで精一杯でしょう。数字上の戦力アップは間違いないが、FAで獲るなら本来は落合や工藤のような効果を期待したいところ。それなら、若手を育ててほしいと願うファンも納得行くのではないでしょうか」
そうは言っても、勝てば官軍。今オフのFA戦線、そして来季の結果はどうなるか。
(文中一部敬称略)