記者A:新元号を誰が発表するかでどんでん返しが起きた。時事通信は2月16日付で「新元号、菅官房長官が発表」という見出しで「安倍晋三首相が菅長官による発表を了承した」と報じた。誰もが順当だと思ったが、菅官房長官はその2日後の会見で、わざわざ「まだ決まっていない」と否定、その後、朝日新聞が「安倍首相が自ら発表する可能性もある」(2月25日付)と報じた。わが社の取材でも、決定に待ったをかけたのは安倍総理だったと聞いている。
その間、何があったか。これまで御代がわりの手続きは官房長官が仕切ってきたが、安倍総理は自ら皇太子に異例の「ご説明」を行なった。新元号発表という歴史的セレモニーを自分でやりたい気持ちが強くなっている。
記者B:でも、菅官房長官は「新元号はその時の官房長官が発表する」と明言してきた。安倍首相が「オレがやる」といえば従うしかないだろうが、心変わりは納得できないのではないか。安倍首相にはレガシーを残せていないという焦りがあるのかも。
記者D:首相の鬱屈は総裁選で争った石破茂・元幹事長にも向けられています。“石破派外し”で開かれた首相公邸での各派の事務総長との会合でも、取材すると過激な発言をしていたことがわかった。
出席者によると、あのとき石破派が呼ばれなかった理由は山崎拓・元自民党幹事長の福島での講演が原因だという。山崎氏は講演で「自民党が(衆参同日選で)大敗すれば、石破氏を担ぎ、第2の『加藤の乱』を仕掛ける」という小沢一郎・自由党共同代表の話を紹介した。安倍首相は会合で参院選の情勢をひどく気にしていて、1人区の情勢分析をしたうえで、「石破が党を出たいというなら出ていけばいいじゃないか」「除名してもいいんだ」と口走ったらしい。これはさすがに記事にならなかったですけれど……。
●レポート/武冨薫(ジャーナリスト)
※週刊ポスト2019年3月15日号