芸能

山本耕史、演技で存在感 「カッコよさ」をコントロール?

山本耕史はストーカー?

どの役を演じてもカッコいい?

 ドラマや舞台で最近、存在感を発揮しているのが山本耕史だ。「カッコよさをコントロールする」という変幻自在の演技についてコラムニストのペリー荻野さんが解説する。

 * * *
 山本耕史は自らの「カッコよさをコントロールする男」だということがよくわかった。今シーズン、山本はふたつのドラマに印象的なゲストとして出演している。

 一作目は『イノセンス 冤罪弁護士』(日本テレビ系)第三話で主人公の弁護士(坂口健太郎)が医療ミスについて病院の隠ぺい工作を疑った事件。外科副部長・磐梯(山本)は、堂々と「隠ぺい工作はすべて私が行ったことです」と告白。すげー、悪いやつ!!と思ったが、結果的には磐梯が病院の改革をするため、あえてしたことだったと発覚する。

 また、『スキャンダル専門弁護士QUEEN』(フジテレビ系)では、主人公の弁護士・氷見(竹内結子)の過去の不正が仲間の弁護士・与田(水川あさみ)や旧知の国会議員・吾妻(山本)らに暴かれ、絶体絶命…かと思ったら、こうきたか!?という流れであった。

 ポイントは、山本が演じたのが、どちらも汚れ役に見えながら、実は志のある男ということ。これは、山本が2004年の大河ドラマ『新選組!』(NHK)で演じた土方歳三と共通している。土方は、『新選組!』の中で、仲間である山南敬助(堺雅人)の切腹を決めるなど、隊の秩序維持のため、あえて悪役に徹したと言われる男。キラキラの二枚目とは一味違うこの役で、多くのファンを獲得したことは間違いない。その後も、愛妻を守るため、片腕を斬り落とされた剣豪を演じた『薄桜記』(NHK BSプレミアム)など、昭和の名優たちが演じてきた名作で二枚目ぶりをアピールしてきた。

 しかし、そうした「カッコいい役」を連発しながら、私生活では「交際0日結婚」など、カッコいいんだかなんだかよくわからないエピソードも出て話題に。『植木等とのぼせもん』(NHK)では、お調子者の無責任男(植木)となって、歌って踊ってコントもこなす。以前、このコラムで取り上げた『紀州藩主・徳川吉宗』(BS朝日)では、結構なわがまま殿様であった。

 そして、現在、上演中の舞台『愛のレキシアター ざ・びぎにんぐ・おぶ・らぶ』を見て、たまげた。山本耕史、全然カッコよくない!! これは全編レキシの楽曲を使った、音楽劇のような作品(みんな、こんなにもレキシの曲を歌いたいんだとよくわかる)で、ここで山本が演じるのは、35歳にして25年間一歩も家から出ていない引きこもりのニートくん。

 伸び放題のロン毛に眼鏡、変なジャージ上下、母親に「カレー作れ」など命令口調の感じ悪いやつなのである。途中、ネアンデルタール人?なども含め、何度も姿を変え、途中、一度だけ、会場がどよめく「カッコいい姿」になりかけたが、そう簡単にはいかない。完全にカッコよさをコントロールしてるな…。

 カッコよさコントロールの先輩といえば、シリアスな役を続けながらも、「カッパとタヌキ」ととぼけた調子で共演を続ける中井貴一がいる。こういうことができるのは、役の引き出しがいっぱいあって、セルフプロデュースできる余裕があるからだろう。0歳から、ドラマ、映画、舞台でキャリアを積んできた山本耕史のコントロールの技を観察しつつ、楽しませてもらおう。次は、どう出る?

関連記事

トピックス

六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
高市早苗総理の”台湾有事発言”をめぐり、日中関係が冷え込んでいる(時事通信フォト)
【中国人観光客減少への本音】「高市さんはもう少し言い方を考えて」vs.「正直このまま来なくていい」消えた訪日客に浅草の人々が賛否、着物レンタル業者は“売上2〜3割減”見込みも
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン