朝ドラの舞台が変わることで起きる批判の最たるものは、唐突さによる戸惑い。「連日の放送で愛着を持つキャラクターと俳優が突然いなくなり、なじみのないキャラクターと俳優ばかりになる」ことが寂しさや不満の声を招いていました。

『なつぞら』は第6週の火曜から「北海道・十勝編」に戻りましたが、そこでも「東京・新宿編」「アニメーション編」のキャラクターと俳優をときどき登場させているため、舞台が変わる第8週に唐突さや戸惑いを感じさせることはないでしょう。

◆「北海道・十勝編」は感動のクライマックスへ

『なつぞら』は記念すべき朝ドラ100作目であり、「歴代ヒロインの大量キャスティング」を筆頭に豪華キャストをそろえました。

 しかし、せっかくの豪華キャストも、ただ集めただけではその魅力が視聴者に伝わらず、制作サイドにとっては腕の見せどころ。SNSなどのコメントを見ると、「東京・新宿編」「アニメーション編」のキャラクターと俳優を「早く見たい」「気になる」などの好意的な声が多いことから、今のところは狙いが奏効しているのではないでしょうか。

 もちろん残り1週となった「北海道・十勝編」のクライマックスも見どころ十分。なつを愛する柴田泰樹(草刈正雄)、柴田富士子(松嶋菜々子)、山田天陽(吉沢亮)らとの切ない別れや恋模様が予想されるだけに必見です。

【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本超のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。

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