芸能

好調『なつぞら』、舞台変わる前に“プレ東京編”描いた狙い

豪華出演者でも話題の『なつぞら』

 広瀬すず主演で、100作目の朝ドラとしても注目を集める『なつぞら』(NHK)。来週いっぱいで「北海道・十勝編」が終わり、新章に突入するが、その構成にこれまでの朝ドラににない巧みさが見られるという。テレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

 * * *
 4月1日の初回22.8%からコンスタントに20%超の視聴率を記録するほか、広瀬すずさんや草刈正雄さんの熱演が話題を集めるなど、好調の朝ドラ『なつぞら』。ここまでは、戦災孤児の奥原なつ(広瀬すず)が柴田家に引き取られ、酪農の仕事を手伝いながら成長していく様子が描かれてきました。

 その「北海道・十勝編」は、13日からの第7週で終了。20日からの第8週から「東京・新宿編」「アニメーション編」とつながっていくのです。つまり現在は、舞台が変わる最初の節目を迎えようとしているところなのですが、このところの朝ドラでは、「舞台が変わるたびに物議を醸す」という現象が続いていました。

 一年前の『半分、青い。』は、「岐阜・故郷編(高校生)」「東京・胸騒ぎ編(漫画家修行)」「人生・怒涛編(100円ショップ)」「戻りました!岐阜編(五平餅カフェ)」「再起奮闘編(発明)」を立て続けに放送しましたが、「まったく別のドラマになった」「変わりすぎてついていけない」などの批判的な声が少なくありませんでした。

 前作の『まんぷく』も、メインの即席ラーメン作りに入ったのは、スタートから約3か月半が過ぎたころ。それまでは、出会いと結婚、戦争と疎開、製塩業、栄養食品の開発、信用組合理事長に就任などのさまざまな舞台が描かれ、賛否を集めました。

◆3週前に“プレ・東京編”を描いた理由

 週6日・半年間放送の長丁場である朝ドラは、主人公の半生を描くことが多く、このように物語の舞台が変わるのは定番であり、珍しいことではありません。ただ、視聴者がSNSで自由に発信できるようになった最近では、「舞台が変わるたびに批判的な声があがる」というケースが増えていました。

 その点、『なつぞら』は、巧妙かつ視聴者に優しい構成が見られます。「東京・新宿編」のはじまる3週前の第5週で、なつは兄探しのために上京し、週をまたいだ第6週の月曜まで、東京での様子が描かれました。“プレ・東京・新宿編”“プレ・アニメーション編”と言いたくなるような異例の構成だったのです。

 そこに登場したのは、なつの兄・奥原咲太郎(岡田将生)、空襲のときになつを助けた佐々岡信哉(工藤阿須加)、カフェオーナーの前島光子(比嘉愛未)、大型書店社長の茂木一貞(リリー・フランキー)、クラブ歌手の煙カスミ(戸田恵子)、元人気ダンサーのおでん屋女将・岸川亜矢美(山口智子)、「東洋動画」アニメーターの仲努(井浦新)などの魅力あふれるキャラクターと俳優たち。それぞれの人柄と謎をチラ見せすることで期待感をあおるとともに、視聴者の目に慣れさせておいたのです。

関連記事

トピックス

公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
立花孝志容疑者(左)と斎藤元彦・兵庫県知事(写真/共同通信社)
【N党党首・立花孝志容疑者が逮捕】斎藤元彦・兵庫県知事“2馬力選挙”の責任の行方は? PR会社は嫌疑不十分で不起訴 「県議会が追及に動くのは難しい」の見方も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の打ち上げに参加したベッキー
《ザックリ背面ジッパーつきドレス着用》ベッキー、大河ドラマの打ち上げに際立つ服装で参加して関係者と話し込む「充実した日々」
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《噂のパートナーNiki》この1年で変化していた山本由伸との“関係性”「今年は球場で彼女の姿を見なかった」プライバシー警戒を強めるきっかけになった出来事
NEWSポストセブン
デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン