「亡くなる前に松山でお会いした時、こんな話をされていました。試合中、上甲監督が当時2年生の安楽に交代を告げたところ、涙を流して“素晴らしい先輩のために勝ちたい。もう1イニングいかせてください”と直訴してきて、続投させたことがあったそうです。
上甲監督はすべての批判を受け止める覚悟で投げさせた。そういう命がけのやり取りが現場にはある。一律に“100球で交代”と決めるなんて幼稚園レベルです。各選手の体力、精神力を見て起用法を判断するのが指導者の役割でしょう」
球数制限があれば、全国から選手が集まる強豪私学が有利になり、大船渡のような公立校のチャンスがさらに減るのも事実だろう。
優先されるべきは何か。怪物・佐々木の起用法を巡る議論は、令和の高校野球に重大な問いを投げかける。
※週刊ポスト2019年8月9日号