先行して試写を観た人々からは様々な声が寄せられている。
「中には“音楽が昭和”とか、こちらは女目線で描いているのに“結局は男目線のロマンだ”なんて感想もありましたが(苦笑)、女性の反応は概ね良く、監督の青山真治には“70過ぎの高齢者にこんな若い映画を作られてはたまらない”と言われました。毎日、処方された何種類もの薬と漢方薬を飲んで病院通いのボロボロの体と心なのに、アタマだけが若いというか大人になっていないのかなぁ」(荒井氏)
ラストも原作にはないオリジナル。男と女が辿り着く先に待つのは希望か、絶望か──。世界が終わる時、誰と何をして過ごすかという問いにふたりがどんな答えを出すのか、直子の表情とあわせて見守ってほしい。映画『火口のふたり』は8月23日(金)より新宿武蔵野館ほかにて全国公開予定。
取材・文/渡部美也
※週刊ポスト2019年8月9日号