「慰安婦問題を複雑にしたのは、『戦時性的強制被害者問題解決促進法案』を国会に提出(2000年)した小川敏夫氏(現・参院副議長)、福島みずほ氏、吉川春子氏など当時の民主党、社民党、共産党の国会議員たちの行動にも原因がある。彼らは反自民の立場から、韓国の反日団体の主張を法案にしたうえ、東京で『女性国際戦犯法廷』を開くなど、各国に慰安婦像建設運動を広げるきっかけをつくった」
そして2009年に民主党政権が誕生すると、さらに拍車がかかる。菅直人・首相は「日韓併合100年」の反省とお詫び談話を出し、鳩山由紀夫・首相は退任後、韓国の独立運動家を収容していた西大門刑務所歴史館で額ずいた。
「ドイツのブラント首相がポーランドでナチスの行為を謝罪した『ワルシャワでの跪き』と同種の謝罪を日本の首相経験者が行なったことで、韓国における日本の戦争責任の大きさのフレームアップを招いた」(前出・黒田氏)と見られている。
日本は韓国の主張に対して、その正当性を議論するのではなく、譲歩を重ねていった。日韓の裏面史に詳しい菅沼光弘・元公安調査庁第二部長が指摘する。
「日韓関係というのは、日本の政治家が韓国を反共の防波堤にするために戦後賠償問題以降も経済支援を続け、その資金を日本にも環流させて日韓で政治的に利用してきた。何か日韓の間で揉め事、利害の衝突が起きた時には、その資金を様々な形で使い、お互いに納得する。それが政治決着です。韓国ロビーといわれる政治家たちがその中心にいて、与野党の多くの議員が日韓議員連盟に加盟し、親韓派が増えていった。
しかし、世の中は変わった。東西冷戦が崩壊し、韓国も民主国家になると、大統領の一存で経済支援のカネを動かすことができない。日本からの経済協力も細くなる。日韓議連のパイプはあっても、政治決着させるための原資がなければ以前のようにカネの力で両国の紛争を解決することができない。それが今の状態です」