ルオフ:八木さんが僕を批判した記事には、「ケネス・ルオフの本音はハーフの天皇誕生か」というタイトルがつけられていました。僕にはハーフの天皇の何がいけないのかわかりませんが、彼をはじめとする男系派の人たちは、何かを恐れて男系や人種にこだわっているようにも感じます。

◆日本人は純血種という幻想

小林:結局、自分たちの社会に原理がないことに対する焦燥感があるんですよ。時代が変わっていくのが怖いから、何か変わらない原理がほしいという潜在意識が日本人にはあるんです。だから「何でもあり」になるとイライラしてしまう。

ルオフ:なるほど、焦燥感ね。その気持ちは理解できます。賛成はしませんが。

小林:だけど、わしはハーフの天皇にまったく反対しませんよ。一般の日本人だって、ハーフに何の抵抗もないでしょう。そのあたりの意識は、本当に変わりましたよね。ところが男系派の連中は、ハーフの天皇なんて絶対あり得ないことだと思っている。

ルオフ:古い考え方だと思いますね。

*『天皇論「日米激突」』(小学館新書)より一部抜粋

【プロフィール】こばやし・よしのり/1953年福岡県生まれ。漫画家。『東大一直線』でデビュー。1992年スタートの「ゴーマニズム宣言」はまったく新しい社会派漫画、思想漫画として話題になり、『天皇論』(小学館)は25万部突破のベストセラーとなる。近著に頭山満と玄洋社を描いた『大東亜論最終章 朝鮮半島動乱す!』(小学館)がある。

ケネス・ルオフ Kenneth J. Ruoff/1966年米国生まれ。ハーバード大学卒。コロンビア大学で博士号取得。米国における近現代天皇制研究の第一人者。現在、米オレゴン州のポートランド州立大学教授、同日本研究センター所長。『国民の天皇』(岩波現代文庫)で大佛次郎論壇賞受賞。近著に、『天皇と日本人』(朝日新書)、 『Japan’s Imperial House in the Postwar Era, 1945-2019』(ハーバード大学出版局) がある。

関連記事

トピックス

なかやまきんに君が参加した“謎の妖怪セミナー”とは…
なかやまきんに君が通う“謎の妖怪セミナー”の仰天内容〈悪いことは妖怪のせい〉〈サントリー製品はすべて妖怪〉出演したサントリーのウェブCMは大丈夫か
週刊ポスト
グラビアから女優までこなすマルチタレントとして一世を風靡した安田美沙子(本人インスタグラム)
《過去に独立トラブルの安田美沙子》前事務所ホームページから「訴訟が係属中」メッセージが3年ぶりに削除されていた【双方を直撃】
NEWSポストセブン
阿部詩は過度に着飾らず、“自分らしさ”を表現する服装が上手との見方も(本人のインスタグラムより)
柔道・阿部詩、メディア露出が増えてファッションへの意識が変化 インスタのフォロワー30万人超えで「モデルでも金」に期待
週刊ポスト
エンゼルス時代、チームメートとのコミュニケーションのためポーカーに参加していたことも(写真/AFP=時事)
《水原一平容疑者「違法賭博の入り口」だったのか》大谷翔平も参加していたエンゼルス“ベンチ裏ポーカー”の実態 「大谷はビギナーズラックで勝っていた」
週刊ポスト
中条きよし氏、トラブルの真相は?(時事通信フォト)
【スクープ全文公開】中条きよし参院議員が“闇金顔負け”の年利60%の高利貸し、出資法違反の重大疑惑 直撃には「貸しましたよ。もちろん」
週刊ポスト
昨秋からはオーストラリアを拠点に練習を重ねてきた池江璃花子(時事通信フォト)
【パリ五輪でのメダル獲得に向けて】池江璃花子、オーストラリア生活を支える相方は元“長友佑都の専属シェフ”
週刊ポスト
店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
大の里
新三役・大の里を待つ試練 元・嘉風の中村親方独立で懸念される「監視の目がなくなる問題」
NEWSポストセブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン