──天皇はあまり宗教色を出さない方がいいですか?
ルオフ:現在の天皇は即位される数年前から、「多様性」という言葉を何度か使い、日本は多様化していると述べられています。おそらく移民が増えているということを念頭に置かれていると思いますが、移民が増えれば宗教も多様化していきます。キリスト教やイスラム教、その他の宗教の人々も入ってきます。
新天皇は、国民国家の統合の象徴となるために努力されることと思います。上皇や上皇后は、外国人向けに日本語学習などを支援する施設を訪問したことがあったと記憶していますが、新天皇、新皇后も、こうした施設を訪問するなどして、宗教的にも多様な人々が日本の共同体にスムーズに入っていけるように接触の機会を持たれて配慮をされていくのではないでしょうか。
【プロフィール】ケネス・ルオフ Kenneth J. Ruoff/1966年米国生まれ。ハーバード大学卒。コロンビア大学で博士号取得。米国における近現代天皇制研究の第一人者。現在、米オレゴン州のポートランド州立大学教授、同日本研究センター所長。『国民の天皇』(岩波現代文庫)で大佛次郎論壇賞受賞。近著に、『天皇と日本人』(朝日新書)、『Japan’s Imperial House in the Postwar Era, 1945-2019』(ハーバード大学出版局) 、『天皇論「日米激突」』(小林よしのり氏との共著、小学館新書)がる。