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口座持てぬヤクザ組長たち 自宅から現金2億円盗まれた例も

溝口:組長は原則、終身です。五代目山口組組長の渡辺芳則のように、下から強制的に引退に追い込まれない限りは退かない。三代目山口組の若頭補佐で「山口組の金庫番」と言われた小田秀臣は、竹中正久四代目の襲名に反対しながら引退の道を選びますが、引退後に会ったら「金を借りた奴も引退したら返さなくなる」とこぼしていました。彼はそれでも金はあったようですが、引退後に元組員たちから金をせびられるケースも多い。だから引退したくてもできない。

鈴木:きれいな引退なんてなかなかないですからね。今、六代目山口組の司忍組長が、七代目の跡目を出所したばかりの高山清司若頭に譲るかどうかが注目されています。お互い77歳と72歳で高齢ですから。

溝口:私は高山が刑務所に収監される前に、「出所したら七代目を禅譲する」という密約が司との間で交わされていた可能性が高いと見ています。それを反故にすることになれば、今度は司派と高山で割れる危険性がある。

鈴木:ヤクザに悠々自適な隠居生活は難しいということですね。

【プロフィール】
◆すずき・ともひこ/1966年、北海道生まれ。日本大学芸術学部写真学科除籍。ヤクザ専門誌『実話時代』編集部に入社。『実話時代BULL』編集長を務めた後、フリーに。主な著書に『潜入ルポ ヤクザの修羅場』『ヤクザと原発』『サカナとヤクザ』など。

◆みぞぐち・あつし/1942年、東京生まれ。早稲田大学政経学部卒業。ノンフィクション作家。『食肉の帝王』で2004年に講談社ノンフィクション賞を受賞。主な著書に『暴力団』『山口組三国志 織田絆誠という男』『さらば! サラリーマン』など。

※週刊ポスト2019年11月29日号

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