国内

40代になった元アイドル声優「私が廃業を決めた理由」

1990年代以降、声優志願者が増え、アイドル化もすすんだ。

1990年代以降、声優志願者が増え、アイドル化もすすんだ。

 就職氷河期世代と呼ばれる30~40代には、なんだかうまくいっていない現在の生き様に対し、鬱屈した思いを抱える人が少なくない。まだやり直せるはずの彼らに「しくじり世代」と名付けたのは、『ルポ 京アニを燃やした男』著者の日野百草氏。今回は、元声優の40代女性がいま、アイドル声優だった頃をどう受け止めているかについてレポートする。

 * * *
「おひさしぶりです!」

 その人は、あのころと変わらない愛らしい声でカフェにあらわれた。その声に、私は一瞬にして25年前、初めて同席したときの心地よさに引き戻された。

 彼女は花子さん(本人希望の仮名)。かつて声優だった団塊ジュニアである。もう周囲に花子さんを元声優と知る人は少なくなったが、この透明感と愛くるしさは目立つことだろう。容姿はもちろんだが、それ以上に独特のオーラがある。およそ20年ぶりに顔をあわせたが、年を経ても少女然とした華奢な彼女の印象は当時そのままだ。もちろん声もそのままである。

「私みたいな引退したマイナー声優がお役に立つかわかりませんけど」

 そう前置きして彼女はすらすらと自身の遍歴を話してくれた。

 私たち団塊ジュニアにとって声優はスーパーアイドルだ。親しんだアニメでまず思い浮かぶのはキャラクター、そして声優だ。かつてはちょっと知られた俳優やアイドルが声優をやりますと宣言すると仕事が減っているのかと思われたものだが、今ではむしろ役者やアイドルがこぞってやりたがり、それを嫌う声優ファンもいるくらいだ。

「私はオタクちゃんでしたから、アニメが好きで声優を目指しました。ガンダムとかセーラームーンとか、一通りの洗礼を受けました」

 私が雑誌「コンプティーク」などでライターをしていた20代、声優には大きく分けて三つのルートがあった。まず、役者を目指していつの間にか声優という人と、アニメが好きで声優になった人の二つである。昔は前者が多く、いまでは後者が大半だろう。三つ目は芸能人、とくにアイドルやモデル経験者が声優になる場合であり、これはすでに選ばれし者から声優になるパターンである。

関連キーワード

関連記事

トピックス

防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
《浜松・ガールズバー店員2人刺殺》「『お父さん、すみません』と泣いて土下座して…」被害者・竹内朋香さんの夫が振り返る“両手ナイフ男”の凶行からの壮絶な半年間
NEWSポストセブン
リモートワークや打合せに使われることもあるカラオケボックス(写真提供/イメージマート)
《警視庁記者クラブの記者がカラオケボックスで乱痴気騒ぎ》個室内で「行為」に及ぶ人たちの実態 従業員の嘆き「珍しくない話」「注意に行くことになってるけど、仕事とはいえ嫌。逆ギレされることもある」 
NEWSポストセブン
「最長片道切符の旅」を達成した伊藤桃さん
「西国分寺から立川…2駅の移動に7時間半」11000kmを“一筆書き”した鉄旅タレント・伊藤桃が語る「過酷すぎるルート」と「撮り鉄」への本音
NEWSポストセブン
ドジャース・山本由伸投手(TikTokより)
《好みのタイプは年上モデル》ドジャース・山本由伸の多忙なオフに…Nikiとの関係は終了も現在も続く“友人関係”
NEWSポストセブン
齋藤元彦・兵庫県知事と、名誉毀損罪で起訴された「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志被告(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志被告「相次ぐ刑事告訴」でもまだまだ“信奉者”がいるのはなぜ…? 「この世の闇を照らしてくれる」との声も
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さん(Xより)、高野健一容疑者の卒アル写真
《高田馬場・女性ライバー刺殺》「僕も殺されるんじゃないかと…」最上あいさんの元婚約者が死を乗り越え“山手線1周配信”…推し活で横行する「闇投げ銭」に警鐘
NEWSポストセブン
伊勢ヶ濱親方と白鵬氏
旧宮城野部屋力士の一斉改名で角界に波紋 白鵬氏の「鵬」が弟子たちの四股名から消え、「部屋再興がなくなった」「再興できても炎鵬がゼロからのスタートか」の声
NEWSポストセブン
環境活動家のグレタ・トゥンベリさん(22)
《不敵な笑みでテロ組織のデモに参加》“環境少女グレタ・トゥンベリさん”の過激化が止まらずイギリスで逮捕「イスラエルに拿捕され、ギリシャに強制送還されたことも」
NEWSポストセブン
親子4人死亡の3日後、”5人目の遺体”が別のマンションで発見された
《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」
NEWSポストセブン
荒川静香さん以来、約20年ぶりの金メダルを目指す坂本花織選手(写真/AFLO)
《2026年大予測》ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケート 坂本花織選手、“りくりゅう”ペアなど日本の「メダル連発」に期待 浅田真央の動向にも注目
女性セブン
トランプ大統領もエスプタイン元被告との過去に親交があった1人(民主党より)
《電マ、ナースセットなど用途不明のグッズの数々》数千枚の写真が公開…10代女性らが被害に遭った“悪魔の館”で発見された数々の物品【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン