国内

新型コロナ 中途半端な情報を小出しにすることで不安は増加

厳戒態勢でクルーズ船から搬送される感染者(時事通信フォト)

 体験取材などを得意とする『女性セブン』ライターの“オバ記者”こと野原広子(62才)が、世の中で起きている様々な事象に、思うがまま意見を綴る。今回のテーマは「中途半端な情に流されず、正確な情報を発信してほしい」だ。

 * * *
「日本はもうダメだよね?」って、40代の女友達が出し抜けに言い出したの。

 新型コロナウイルスのことを言っているのは、聞かなくてもわかる。ダイヤモンド・プリンセス号の乗客の中から死者が出た、というニュースが流れた翌日のことだ。

 不安な気持ちはよくわかる。テレビもネットも、イベントの中止や延期のニュースばかりだもの。

 私はライターのかたわら、衆議院議員の事務所で、小学生に国会議事堂を案内するアルバイトをしているんだけど、ここ数日だけで4件のキャンセルが出た。多い日は午前中だけで黄色い帽子をかぶった8000人の小学生でごった返すのに、いまはガラ~ン。

 満員電車でゴホンと咳をする人がいれば、体をひねったり、呼吸を止めたり。逆に自分が咳をしようものなら、「いやいや、私は大丈夫です」と言いたくなる。そのそばから、「本当に大丈夫か、私」と自分の体にすでにすみ着いているかもしれない新型コロナウイルスにおびえている。

 事実とはかけ離れた“思い”や“不安”。これがひとり歩きする。それを口に出すだけじゃない。行動に変えちゃう人もいるのよね。

 東日本大震災のときがそう。私の周囲では、テレビよりネットニュースにあおられた人が、家財道具一式を車に載せて、「東京にいたら危ないよ。逃げてっ。命には代えられないから」と涙声で電話で訴えて、関西や九州に逃げて行った。そして1週間、短い人は4日で帰ってきて、何事もなかったように元の家で暮らしていたの。で、そのときと同じ人が、「日本、ヤバい」と言っている。人って変わらないんだよね。

 しかし、テレビのニュースやワイドショーって何なんだろうね。「クルーズ船の乗客の男女2人が死亡しました」って、そりゃないでしょ。「80代の男女」と「男女2人」と、受け取り方が同じなわけがないって。

 毎年、A型とB型のインフルエンザで1万人が亡くなっていて、その大半が高齢者か、持病のある人なんだよ。それが今年はどうなっているかを報じないで、正体がわからない新型コロナウイルスのことばかりっておかしくないか?

 それにしても、ダイヤモンド・プリンセス号で「陰性」とされた乗客の一部が、下船後に一転して「陽性」になってしまったのは怖い。結果的に厚生労働省が甘かったように思う。

関連記事

トピックス

球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン