CMディレクターの箱田優子が監督と脚本を務めた『ブルーアワーにぶっ飛ばす』で、女優の夏帆とともに主演を務めたシム・ウンギョンの役者としての実力については、元文部官僚で映画評論家の寺脇研氏も「政治的な要素が絡んだ社会派映画でシリアスな演技をする一方で、脱力系のコメディー映画でも役柄をまっとうしている。素晴らしい演技力の持ち主だ」と称賛。
さらに、映画コメンテーターとしても活躍するタレントのLiLiCo氏は、シム・ウンギョンに出会ったとき「身体中に電気が走った」ほど衝撃を受けたという。
「どんな女性にでも染まれて、まだまだ日本での仕事の経験が短いのに日本語力もすごい。透明感溢れる自然な演技なのでこれからが楽しみ! クセのある意地悪な姉ちゃん役、男を騙したりするインパクトの役も見たいです。『ブルーアワーにぶっ飛ばす』の彼女は最高でした。難しい内容だったのに通訳通さず自分の言葉で一生懸命話してくれたシム・ウンギョンさんに惚れた!」(LiLiCo氏)
次に、主演男優のなかで最も優秀な活躍を見せた人物として、松坂桃李(31)の名前を挙げたい。やはり『新聞記者』でシム・ウンギョンとダブル主演を務めた松坂だが、その経歴から言うのであれば大きなリスクをともなう仕事でもあった。
1988年、神奈川県出身の松坂は、20歳のころよりモデルとして活動を開始。ほどなくいわゆる“戦隊モノ”で俳優デビューを飾り、ドラマや映画へと活躍の幅を広げていく。2011年の映画『アントキノイノチ』で複数の新人賞を受賞すると、翌2012年に主演を務めた映画『ツナグ』でも数々の賞を受賞し、その演技力の高さが評価されるとともに花形役者の地位を確立してきた。
人気俳優として活躍してきた彼にとって、現政権への批判を織り込んだ『新聞記者』で内閣情報調査室の官僚・杉原拓海役を演じたことは、ある意味では危険な試みでもあった。小野寺氏は「この映画に主演しようと思ったのがすごい」と驚きを示しながら、その理由を次のように語った。
「いまの日本映画が韓国に追いつけるかというところで、最もウイークポイントになっているのが“政治的な問題を辛辣に描けない”ことなので、この作品は貴重。だが、人気のある俳優が出演しなければ注目は集まらない。その意味で、松坂桃李の出演には驚きがあった」