もちろん今季シニアに上がった上記3選手の強さも際立っている。数種類の4回転(シェルバコワ、トゥルソワ)、質の高いトリプルアクセル(コストルナヤ)を装備する彼女たちは、強靭なメンタルをあわせもち、今季、グランプリシリーズで負けなしの活躍を見せた。それでもファンに「エテリ(コーチ)の最終兵器」と呼ばれるほど、ワリエワの演技は、見るものを虜にする。ちなみにワリエワは、北京五輪を15歳で迎える。これは、平昌で金メダルを獲得した時のアリーナ・ザギトワ選手と同じ年齢である。
◆日本人ジュニアチャンピオンは本田真凛が最後
選手層の厚いロシアに対し、日本はどうか。
冒頭に挙げた河辺愛菜のほか、昨年末の全日本フィギュアで3位に入り、期待された川畑和愛(15)は14位。二人とも、フリープログラムは、上位6人が滑る最終グループに残ることすらできなかった。ちなみに最終グループに残ったのは、ワリエワを含むロシア3選手、韓国2選手、アメリカ1選手だ。
「河辺選手は、紀平梨花選手と同じく濱田美栄コーチの指導を受けていて、トリプルアクセルを跳べる選手です。今回の世界ジュニアでは失敗し、それが響いたのか、ジャンプの失敗が続きました。トリプルアクセルを成功させていたら、順位は大きく違っていたかもしれません。
ただ、ロシアのみならず、韓国も良い選手がたくさん出てきています。それに比べると、日本選手の現状はちょっと淋しいといえるかもしれませんね。いま、フィギュアスケート人気は世界一といえる日本ですが、女子ジュニアの結果に限って言えば、この人気が、選手層の厚さにつながっていないように見えます」(土田氏)
世界ジュニアで日本女子が優勝したのは、2016年、本田真凜が最後になる(本田は、翌年は銀メダル)。過去に遡れば、安藤美姫、浅田真央、村上佳菜子が、男子では髙橋大輔、織田信成、小塚崇彦、羽生結弦、宇野昌磨がジュニアを制しており、世界ジュニアは、その後シニアで活躍するための登竜門であることが伺える。今、日本のジュニア勢には何が足りないのか。土田氏はこう指摘する。