「夫婦で同じ職場で働くのは難しくて、当初は『社長の奥さん』と呼ばれ、お客さん扱いでした。でも成果を上げていくと『琴絵さんと仕事がしたい』と言うかたも増え、手ごたえを感じるようになりました。いまは、スタッフがよりよく働けるよう、何があっても私が責任をとろうと覚悟を決めています」
数々の苦難を乗り越えた琴絵さんは、いまの生活から一歩踏み出したいという気持ちがありながらも、ためらう女性たちにこうエールを送る。
「たとえば、ゼッケン貼りの仕事は圧迫接着の技術がすぐ役に立つわけでもなく、つまらないなどと思う人もいるでしょう。でも、全力投球した経験は必ず自分の糧になる。何事も斜に構えず、心底面白がれれば世界は変わると思うのです」
いまや、琴絵さんの活動の場は、東京だけではない。故郷・北海道釧路市にも、町おこしのための団体や会社を設立し、東京と釧路での「2拠点活動」をしている。
そしていま改めて大切にしたいと思うのは、夫婦のことだ。
「結婚して15年。円満だったけど、お互いに仕事に頑張りすぎていたぶん、距離を感じて寂しかったかもしれない…最近、夫と話していてそう感じたんです。
だから、いまさらながら、夫との恋愛を一からやり直すことにしたんです。高校生カップルみたいにペアルックを着て、お互いに「好きだよ」って言い合ったり(笑い)。6月にはバリでふたりきりでの2度目の挙式を予定しています。人生100年時代といっても、明日どうなるかはわからない。だからこそ、もう一度、夫に恋をしてもいいんじゃない?って思っています」
写真提供/四宮琴絵 取材・文/宇都宮直子
※女性セブン2020年4月23日号