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存続か廃止かBRTか 不採算に悩むローカル鉄道が選ぶ道

海外では都市部にもBRT導入が進む。五輪をきっかけにリオデジャネイロにも登場(時事通信フォト)

海外では都市部にもBRT導入が進む。五輪をきっかけにリオデジャネイロにも登場(時事通信フォト)

 こうして、日田彦山線の復旧議論は再び動き始める。コロナ禍によって、さらなる遅れも予測されるが、このほど福岡県知事は沿線自治体の意見を踏まえて被災した区間のほぼ全線をBRTに転換することを表明。ひとまず、沿線自治体の意見をまとめるところまで漕ぎ着けた。

 慢性的に赤字の鉄道路線を廃止してバスへ転換するという代替案は、人口減少が深刻化している地方都市では以前から見られる。しかし、複数の市町村にまたがる路線の場合は、それぞれの利害関係もあり、容易に意見はまとまらない。意見集約だけで時間を消費し、時間切れによって廃線に追い込まれてしまうケースもある。

 これまで鉄道路線の復旧は、鉄道を存続させるか廃止するか、廃止するなら代行の路線バスをどうするか?といった議論が中心になっていた。

 最近、その議論にBRT転換という新たな選択肢が加わった。BRT転換とは、単に鉄道から路線バスへと代替するのではなく、鉄道の線路跡地をバス専用道化して活用する新手法だ。

 バス・ラピッド・トランジット(Bus Rapid Transit)の頭文字をとったBRTは、多くの利用者をいっぺんに運べるように連節バスを使用したり、バス専用道や優先道を整備して定時運行を確保するといった特色がある。東日本大震災で被災した気仙沼線と大船渡線も、鉄道ではなくBRTに転換して復旧している。

 鉄道からバスもしくはBRTへと転換する理由は、何といっても負担費用を軽減できることが挙げられる。路線バスに比べると、BRTは専用道を走るので定時性を確保しやすく、所要時間も短縮できる。そうしたメリットを兼ね備えている点から、人口減少が進む都市ではBRTを検討する自治体が増えている。BRTは、鉄道を維持できない人口減少社会の救世主のような存在になっている。

 沿線人口の減少により鉄道を維持できなくなっている地域では、BRT転換への機運が高まっている。その一方で、BRTや路線バスへの転換を是とせず、赤字でも存続を決めた鉄道もある。

 それが、滋賀県の東近江市・米原市・彦根市・近江八幡市・甲賀市などを走る近江鉄道だ。地方鉄道とはいうものの、近江鉄道の総延長は約59.5キロメートルにもおよぶ。

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